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Case1. 校内飲酒

 私の名前は小杉。今日から県立お茶の水高校に通う高校一年生です。県立お茶の水高校は進学校として有名な女子高です。女子高だから男の子はいないけれど、その分女の子同士で楽しく過ごせたらいいなと思っています。


 今日は4月1日。時刻は午前8時30分。私は校門の前にやってきました。30分後には入学式が始まります。どんな学校生活が私を待ち受けているのでしょう。とても楽しみです。

 校門をくぐり抜けた瞬間、私は近くに立っていた女子生徒に声をかけられました。


「入学おめでとう。あなた、新入生でしょう?」


 発言の主は、セミロングの黒髪の生徒でした。同じ制服に身を包んではいるけれど、私にはない風格を感じます。それにとても美人です。いけない、返事をしなきゃ。


「ありがとうございます。はい、新入生です」


「そう。入学式まではまだ時間があるわ。少し私と話をしないかしら?」


「話ですか……? わかりました」


 学校生活のアドバイスでもしてくれるのでしょうか。それとも、部活動の勧誘でしょうか。なんとなくですが、後者のような気がします。


「じゃあ、私についてきて。生徒会室に案内するわ」


 そういって先輩はスタスタと歩き始めました。私も慌てて後を追いかけます。生徒会室に案内されるという事は、生徒会の勧誘でしょうか?


 そのまま私たちは校舎の中に入り、そこからしばらく歩きました。この学校は4階建てですが、私たちはその最上階までやってきました。


「ここが生徒会室よ。入って」


「はい。失礼します」


 先輩に促されて、私は部屋に入りました。なんの変哲もない、普通の生徒会室です。会社のオフィスのように、デスクが4つ配置されています。各デスクの上には書類やPCが置いてあります。来客用のソファとテーブルも見えます。


「ここに座って。お茶を出すから少し待っててちょうだい」


 そういって先輩は、私に来客用のソファを勧めてくれました。勧められるがままに私は腰を下ろします。先輩はお茶の準備にとりかかりました。棚を開けて茶葉やカップを取り出しています。私はぼうっとしながら、そんな先輩の様子を見ていました。


「お待たせ。紅茶を淹れたから、よかったら飲んでみて」


「いただきます」


 早速お茶ができたようです。私は差し出されたカップを手に持ち、中身を飲みました。


「おいしいです。でも、ちょっと苦い……?」


「そうね。苦くて当然よ。だって焼酎と割ってあるもの」


「ショウチュウ……? 外国の茶葉ですか?」


「あなた、焼酎も知らないの? 蒸留酒の一種で、その原料ごとに米焼酎、麦焼酎、芋焼酎など色々な種類があるわ」


 焼酎を知らない日本人がいるのか、とでも言いたげな表情で先輩はこちらを見ています。もちろん焼酎は知っていますが、校内で未成年飲酒をするのはいかがなものでしょうか。


「私、まだ未成年なんですが」


「知っているわ。私もまだ17よ」


「校内で飲酒って、生徒会としてどうなんですか」


「教師に見つからなければ、なんの問題もないわ」


「そうですか……」


 入学して早々、私は生徒会室でお酒を飲まされてしまいました。予想だにしていなかった展開です。私の頭は混乱してきました。


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