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【拐って来てやったぞ】

 地下二階の警備員室についた化穢は、担いでいた蓮を乱暴に落とした。

「ごめん……なさい……。ごめ……」

 幻覚により魘されて、泣きながら謝っていた。


 それを見た怨霊は愉快そうに醜悪な笑みを浮かべ、前髪を掴み、顔を持ち上げる。

「本当だよ。テメェのせいで俺の人生が滅茶苦茶になったんだ。その責任を取れ‼」

 ゴッ。

 怨霊は蓮の顔面を拳で殴り飛ばす。

「弱い女の癖してしゃしゃり出て、強い男の遊びを邪魔しやがって‼ 弱い者虐めが嫌いって正義のヒーロー気取りですか? 痛々しい厨二女が‼ だいたい、虐めなんて虐められるような糞雑魚の方が悪ぃんだろうが‼ この世の中はなぁ、弱い奴は淘汰されていくんだよ‼」

 ドゴッ。バキッ。ガンッ。

 蹴る、踏みつける、髪を掴んで壁に叩きつける。

 聞くに耐えない罵詈雑言を大声で喚き散らす。その声は、廊下にまで響いていた。


「おい、お前は何、そこでボーッとつっ立ってんだよ。まだ咲宮とア穂花がいるじゃねぇか」

 一瞬の休憩がてらに、怨霊は化穢に命じた。

 化穢は、こめかみにピキリと筋が立つ。しかし、怒りはしなかった。

【……そろそろだな】

「あ? 何が――」


 ドスッ。


 怨霊の言葉は、最後まで紡がれる事はなかった。


「ぁ゛……⁉ な、で……ぉばぇ、が……⁉」


 怨霊の腹を、鉄パイプが貫いていた。

 鉄パイプが引き抜かれると、ドサッと倒れ伏す。

 霞んで、暗くなる視界。

 倒れているはずの蓮の姿はなく、代わりに、黒い泥の化け物がいた。


 それは、怨霊が生者として、最期に見た光景となった。

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