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「ここが最後か」
重そうな防火シャッターを前に、御崎が言った。
今、花耶達は怨夢内にあるシャッターを破壊しにまわっている。壊しているのは主に灼の仕事だ。探索範囲を広げる為だ。
途中、いくつか罠があった。危険感知能力の高い花耶が罠を見つけ次第、他の者が壊し、怪我をした者がいれば愛梨等の快癒を使える者が回復するといった連携で、全員ほぼ無傷である。
「じゃあさっそく、ぶち破るっすよ」
灼が言うと、他の全員が下がる。蹴り破った際、破片が飛ぶからだ。
バキッ。
灼が前蹴りをかますと、シャッターが外れてぶっ飛んだ。ガッシャンと音をたてて床に落ちる。
「お見事さんっ!」
御崎達の班の一人、まつりが言うと、灼は得意気な顔で振り返り、Vサイン。
「じゃあこれから別行動開始だな。千絃達は、まず春介達を探したいだろ?」
「「「「はい」」」」
四人が頷くと、御崎は言った。
「じゃあ、お前らはここから奥の駅ビルの方を頼む。そっちの方が範囲広いしな。そうびと綾人も」
「分かりました」
「まかせろ」
「了解」
千絃が返答し、二人も了承する。ここは駅構内も広いが、駅ビルも地図の通りなら、地下一階から五階まである。探す範囲は駅よりも広いので、そちらに人数を割く事にしたのだ。
◆◇◆
「うっわマジか」
駅ビルに続く地下通路に降りて、最初の角を曲がったところ。天井に設置されている蛍光灯から、通路いっぱいに電気の雨が降り注いでいた。思わず、綾人がおののく。
「こっちにレバーみたいな物がありますよ」
「奥にも」
愛梨と花耶がレバーを見つけた。花耶が見つけたのは、二、三十メートルほど奥の壁にある物だった。
愛梨がレバーを下げると、電気の雨が止んだ。
「んぉ! 止まった」
さっそく灼が進み始めるが。
「待って」
「何か、カチカチ音が――」
花耶とそうびが言い終わるのが速いか否か。
ガコンと、レバーが上がった。
バチっ。
再び、電気の雨が降り注ぐ。
「おわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ⁉」
灼は悲鳴を地下通路中に響かせて駆け戻ってきた。
「だ、大丈夫⁉」
「び、びびった……。死ぬかと思った……」
愛梨は腰が抜けて座り込む灼の顔を覗き込んだ。少し、涙目になっていた。
ちなみに、灼を落ち着かせようと、花耶は背中を擦っていた。
「……とりあえず、僕がレバーを押さえてますね」
「「「「「お願いします」」」」」
時間的に、花耶と灸は余裕で駆け抜けられるだろう。しかし、綾人とそうびはギリギリだ。愛梨は、絶対に間に合わない。
雷属性のダメージが全く効かない千絃にレバーを任せて、最後に来てもらった方が安全だ。
全員が移動して、駅ビルの探索を開始した。




