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怨夢での任務が終わったと聞いて、灼は瑞昭寺まで駆けた。
(皆……!)
真っ先に花耶、愛梨、春介、蓮、千絃の顔が浮かぶ。その後に、雪音や朧に与一郎や千代等の、第一討伐隊士達。他、死後に仲良くなった者達。
今回の怨夢はかなり大きいとはいえ、化穢が複数体いる。
さらに、見ず知らずの誰かだったが、殉職したと言う知らせも聞いた。自分が聞いていないだけで、仲間や知り合いが殉職した可能性もある。
化穢に喰われたかもしれない。化穢になってしまったかもしれない。
(嫌だ……!)
脳裏に、自分が目の前にいるのに気がつかないクラスメート達やさっちゃん先生の様子が浮かぶ。不安で、視界が滲む。
もう、大事な者達と一生の……否、永遠の別れなんてしたくない。
「第一討伐隊はこちらへ! これから点呼を始めます!」
瑞昭寺までつくと、雪音の声が聞こえた。
灼はそっちまで移動する。
人混みを縫って進むと、見知った横顔が見えた。
「全員、いるみたいですね」
ちょうど点呼が終わったのだろう。雪音の安堵した声が聞こえた。
「皆!」
『『!』』
呼びかけると、全員が灼の方を見る。
「お、出迎えか?」
「ちょっと涙目になってるじゃん!」
「灼、大丈夫?」
何人かが声をかけると、灼は強い口調で言った。
「『大丈夫?』なんてこっちの台詞っすよ! 皆無事か、すげー心配したんだからな‼ そりゃ涙目で出迎えるに決まってんだろ‼」
クラスメートや恩師との死に別れの寂しさは、まだ色濃く残っている。その上、まだ一番下の朔月階級で、怨夢探索に参加できない。また誰かと二度と会えなくなるのではないかという思いで、気が気ではなかった。
「あー、茶化して悪かったよ」
「ほら、目の前に花耶置いておくから、むくれてないで機嫌治して」
ぽんと、花耶は灼の前に軽く押し出された。
「……」
不安を和らげようとしてるのか、花耶は灼の頭を撫でる。
「……」
涙目でむすっとしていても、第一討伐隊の全員が無事だと知って多少は余裕が出てきたのだろう。
花耶が頭を撫でやすいように、屈んだ。
十四章に続きます。
また、プロット作成の為、来週は投稿をお休みします。
十四章1話は3月26日に投稿したいと思っております。




