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いくらかの追加情報が入った。
追加情報時点で、化穢の数は九体。数が減っている事から、死徒が討伐したようだ。
怨夢を作り出したのは幼い子供五人。この特大怨夢は、複数の大きな怨夢が繋がってできたらしい。その事から、何らかの関係性あり。よって、連行のしかたは死徒それぞれの判断に任せる事。
◆◇◆
森林公園のような、木製の遊具が設置されている森に剣劇が響いていた。
「よっ」
それまで春介は穢憑きの攻撃を盾で受け止めていたが、傍らに踏み込みながら受け流す。
【⁉】
今まで押し気味だった為、勢い余って反応に遅れる。
ズバッ。
盾の角度を変えて、胴体を大きく斬り裂いた。
(よし! 春介は足止めしていた奴を倒した)
千絃はそう考えながら、詠唱する。
「《痺雷雨》!」
花耶に向かっていった化穢と穢憑きの集団に、雷の雨が降り注ぐ。
穢憑きは全て霧散。しかし、化穢だけがピンピンしていた。
【人型の雷獣か? いや、変化術を取得した雷獣か? 珍しい! 異能は持っているが、後で喰ってやる!】
「!」
どうやら、その化穢は千絃と同じ異能、雷の化身を持っていたようだ。
「――っ!」
花耶は、先程急に気だるくなった体を酷使して化穢から逃げる。少し、霊力の使用がハイペースだったようだ。
(纏霊刃なら、あと三分……。祓穢衣は……一秒だけ、なら)
「花耶! 霊力を温存して! 祓穢衣は論外!」
千絃がそう釘をさしてきた。
どんな原理かは分からないが、花耶の考えている事が分かったようだ。普段の行動から予測がついたのだろうか。
「花耶ー! こっちだよ!」
春介が駆け寄りながら呼びかける。
化穢は人間の魂もある程度は食べているのか、花耶とほぼ互角の速さ。春介では追い付けるわけがない。よって、花耶に誘き寄せてもらおうと考えたのである。
「《痺雷針》!」
どこを狙ったのか、千絃は化穢の後、数メートル上に向けて痺雷針を撃った。
【あの男はどこを狙って――ガッ⁉】
化穢の嘲りを、背後からの強い衝撃が遮る。
化穢の背後を襲ったのは、丸太で作られた吊り橋だった。丸太を吊り下げていたと思しき鎖が、千絃の痺雷針によって砕かれたのだろう。
【!】
倒れた化穢は顔を上げるが、すぐそばに大きな足があった。
ザクッ。
視認した瞬間、頭を盾で両断された。
「花耶、大丈夫?」
化穢が霧散したのを確認すると、千絃は花耶に訊いた。
「平気……」
と、花耶が答える。しかし、春介が軽くポンと押すと、ふらりと体が傾いた。千絃が受け止めたので倒れる事はなかったが。
「これは、さすがに少し休んだ方がよさそうだねぇ」
「そうだね。この程度で倒れるんじゃ……」
二人は苦笑いを浮かべて提案するが花耶は首を振った。
「平気……!」
花耶は顔を横に振り、体勢を直す。
「まだ、魂、残ってる。化穢も、いる。だから、この程度じゃ、休まない」
「いやいや。この程度って言うけど、花耶の場合は霊力切れ起こすとまずいからね」
「無理は禁物だよ。花耶が霊力切れ起こすと、気絶だけじゃあすまないからさ」
花耶は霊力を使う度に魂に負荷がかかる。気だるくなってくるあたりだと、危険域手前といったくらいだろう。
纏霊刃ならばまだ大丈夫だろうが、祓穢衣ならば一発使った瞬間に病院送りは確実。数分程度でも休ませた方がいいだろう。
千絃は短く溜め息をつき、言った。
「実を言うと、僕もかなり霊力使っているんだ。だから、五分だけ休みたいなぁって思うんだけど」
嘘である。本当は、まだ霊力には余裕がある。千絃自身は、休む必要はない。
「……分かった。休む」
しかしこう言う事で、花耶に休憩を促す事ができた。
◆◇◆
「愛梨ー。千絃達の方は大丈夫そうか?」
「はい。少し、待っててください」
愛梨はさっそく、視界共有で三人の様子を視る。
「えーと、休憩中? でしょうか……。あ、春介さんが花耶先輩に快癒をしてます」
「じゃあ、そろそろ花耶がキツくなってきたか。祓穢衣は打ち止めだな」
蓮は少し厳しそうな顔をする。
(化穢が多い上に、祓穢が集中砲火されるだろうからなぁ。千絃と春介がいるなら、花耶に無茶はさせねぇだろうけど)
と、思いながら蓮は愛梨の頭にわしゃっと、手を置いた。
「愛梨の判断、マジで正しかったな。春介だけじゃあ、もっと花耶に負担がかかったろうし」
おそらく、怨夢に突入する前の、二手に別れる組み合わせで発した、愛梨の意見だろう。
「いえいえ! たぶん、私が言わなくても最終的にこの組み合わせになったと思いますよ!」
愛梨は、今となっては癖として染みついている謙遜を言う。しかし、蓮の言葉で少し自信がついた。
(私でも、多少は役に立ててるかな?)




