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(一体、何が起こってんだ……?)
灼は、びくつきながら気味が悪いほど静かな町で、大きなリアカーを引いていた。
リアカーの上には、数人ほど人間や妖怪がいる。寺社の外で戦っていた、祓い屋や軍人、妖怪である。
全員、死んではいない。しかし、意識がなかった。
周囲もほとんど気配がない。死体に混ざって、生者が眠っていた。
灼含む朔月達は、生者を医療隊の元に運ぶ任務を受けた。
肉体が何らかの原因で死んでも、魂の緒が切れる。それを防ぐため、安全なところで看護するのだ。
いつもなら、変に騒がれて怪奇現象扱いされるので、人間の生者は放置される。山中などの人気のない所は例外だが。
今回は、その例外に該当するようだ。それほどまでに、怨夢に取り込まれた生者は多い。
(医療隊はいつも忙しそうだったけど、今はもうガチな修羅場みてーだったし、ふらふらだったし、なんか最低限の獄卒を残してオレと同じくリアカー引いてったし)
思い返すと、今回の任務はかなり異様だ。
繊月以上の死徒は全員駆り出されるわ、生者は子供以外起きていないわ。おまけにちらっと聞いただけだが、怨夢の中に何体もの化穢がいるらしい。
(……皆、絶対に大丈夫だよな……?)
全員が生きて帰って来てほしい。
もう、大事な者達と会えなくなるのは嫌だ。




