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 サングラスの祓い屋が戻ると、部下が何人か出迎えた。

「お帰りなさいませ、清道(きよみち)様」

「只今戻りました。本日の収穫です」

 清道と呼ばれた祓い屋は、ぐったりとしている鬼女を部下に渡す。

「かしこまりました。すでに手術の準備ができております」

「分かりました。私はこの後、政府の方々に呼ばれているので、そろそろ出掛けますね」

「かしこまりました」


◆◇◆


「!」

 鬼女が目を覚ますと、手術台の上に拘束されていた。

「くそ!」

 拘束を外そうと、手足に力を込めるが全くびくともしない。鉄よりも硬い金属で作られた枷のようだ。


 抵抗していると、手術室に誰か入ってきた。

「あぁ、目覚めていたみたいですね」

 眠っている患者三人と、医師が数人。布の膨らみから患者二人はそれぞれ、腕や脚がないように見えた。もう一人は五体満足のように見える。


「貴様! ここはどこだ⁉ 私をどうするつもりだ!」

「ここは、貴女の死に場所ですよ。我らが長、清道様が仰られたように、貴女のお体を人間の役に立たせてもらいます」

「ふざけるな! 誰が人間なんかの……‼」

 そう言いながら、鬼女は、拘束から逃れようと暴れる。


「暴れないでください。せっかくの美しい脚と腕が傷ついてしまいます。これから、この方々の物になるのですから」


 血の気が引いた。

 人間の役に立たせるとは、体の部位を人間に移植する事だったのだ。

「や、やめろ‼」

「こちらの方は、生まれつき内臓に疾患を持っております。こちらの方は、事故で脚を。こちらの方は、貴方達妖怪のせいで腕を失う事になりました。困っている人の役に立って死ぬ事ができるのですよ。お喜びください。貴女は人を殺していますが、きっと天国に逝ける事でしょう」

 狂ってると、鬼女は思った。

 自分達は、こんな狂った化け物を相手にしていたのかと戦慄した。

「鬼女には麻酔なしで大丈夫でしょう。丈夫ですし、費用が無駄にかさみます」

 そう言いながら、医師達はメスを手に取る。

 恐怖のあまり、鬼女の歯がガチガチと鳴る。涙で視界が霞む。

「や、やめろ! やめろやめろやめろ嫌だやめてくれ」

 走馬灯だろうか。滲んだ視界に、故郷の光景が浮かぶ。

 もう二度と、帰る事はできない。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」


◆◇◆


 手術は成功した。

 麻酔が切れて患者達が目を覚ますと、彼らは涙ながらに医師達に感謝した。

 明日も生きていられる喜び。

 将来の夢を叶えられる希望。

 理不尽に奪われた体の再生。

 そして、自身に肉体を提供してくれた顔も知らない者への感謝と追悼。


 だが、彼らは知らなかった。

 臓器や手足の持ち主だった者の、猟奇的な最期を。

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