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関東の、人外界との境目近くにある尼寺。
そこの一室で尼の化け狸と、火鬼が二人、化け猫がいた。
「行くのですね」
「「「はい!」」」
しゃがれた、しかし落ち着いた声に、三人は答える。その声は、決意や覚悟がこもっていた。
「創さん、蒼大さん。必ずや、御友人方を助けてあげてください」
「「はい!」」
創、蒼大と呼ばれた火鬼は頷く。
妖怪だが、その服装は人間が着るような動きやすいパーカーだった。
「シャノさん。二人の援護、頑張ってくださいね」
「分かったのにゃ!」
シャノと呼ばれた、黒い化け猫が元気よく挙手して答える。彼女も、パーカーを着ていた。
「庵主さんには、本当にお世話になりました」
「本当にありがとうございます。拾われなかったら、どうなってた事か……」
「いいえぇ。困っている方は、見捨てられませんよ」
庵主は緩く首を振り、ぽむと手を合わせる。
「二人とも! 早く行くのにゃ! 皆待ってるのにゃ!」
シャノは勢いよく障子を開き、外に飛び出した。
「おう!」
その後を、創が追う。
最後に、蒼大が軽く会釈して、山を駆け下りていった。
「二人とも! ちゃんとフード被れよ! あとシャノ! 念の為、今の内に変化しとけ!」
そんな声の後、寺には静けさに包まれた。
◆◇◆
別の山では、ある部隊が進軍していた。
構成する妖怪のほとんどが武器を持っておらず、首に隷属の縄枷を巻いている。縄枷を着けていない者も数人ほどいたが、彼らは刀や槍などの得物を携えていた。
そして、その隊を率いているのが、隻腕の老人である。
住宅街まで着くと、老人はこう命じた。
「火の海にしてしまえ。ただし、神社と寺には手を出すな」
『『……御意』』
縄枷を着けている者達は、住宅街の中を駆けて行き、家々に火をつけていった。




