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魔法と建国と吸血鬼  作者: タニシ
2/8

プロローグ2

ここって書くことないよね

……………………は?


「え? …………いや、え? 聞き間違えかもしれないんでもう一回言ってもらってもいいですか?」


「だーーかーーらーー、私のための王国を作るの! あ・な・た・が!!」


「地味に人に作らせようとすんな自分で作れロリバB……じゃなくておばさん!」


「な――――!! せめてオブラートに包みなさいよ! 耳引きちぎるわよ!」


何かおばさんが騒いでいるがスルーして話を先に進める。


「そんなことより王国を作るってどういうことですか!?」


「無視するんじゃないわよ。覚えときなさいよ……。王国を作るっていうのはそのままの意味で、私を女王として崇める私のための国を作るの!」


「……どうやって作るんですか」


「そんなの知らないわ。眷属なんだからあなたが何とかしなさいよ」


こいつ、今度一回しばく。


「……はぁ。仮にそれを最終目標にしたとしても、現状をどうにかしないと始まりませんよ」


「私のアンデッドたちを貸すから明日、日が昇るまでには最低限住める家を作りなさい。私はもう少し寝るわ」


そう言い残し返事をする間もなく棺桶に戻って行った。


「いつものことながら嵐のような人でしたね」


「あれはもう天災の域だろ……」


一度言ったら聞かないタイプなので仕方なく作業を始めようとした。が、アンデッドを借りていないことに気づいた。


「お嬢様、アンデッドを貸してもらってないのですが――――」


「その点はわたくしにお任せください」


そう言ったクックは魔法を行使し始める。


「アクティベートマジックサークル、サモンアンデッド!」


足元に十メートルほどの魔法陣が現れ光り始めた。

「…………!」


光が収まるとそこには三十体のアンデッド群がいた。


「命令一つでなんでもします。さぁ、お好きにお使いください」


こいつ、さては僕より有能だな?


「能力的にはどんなもんだ?」


「なんでもできますよ。戦闘建築偵察見張り、料理洗濯家事全般、果ては勉強と彼女作り代行まで! グレートな一品でございます!」


「何!! アンデッドは砂糖だったのか」


「それは調味料の人気おすすめランキング一位なんですが」


「道理で僕より有能な訳だ」


「………………」


「そこは否定してよ!! いや確かにそうなんだけど!」


「そんなことよりさっさと作業始めちゃいましょう」


三十体のうち四体を東西南北の見張りに、十八体を採集係に、残りの八体を建築係に分けた。


作業を始める前に南下し、川の五十メートルほど近くまで移動する。

これで水分補給はもちろん、魚を獲ってご飯にしたり、お湯にしてお風呂にしたり、洗濯したりとできることが大幅に増えたし時短にもなった。

家の大体の位置を決め作業に入らせる。

既に太陽は完全に沈みほとんどなにも見えない状態だったが、クックの暗視魔法によって夜間も作業できる。なんて優しい魔法だろうか! これが仕事ならたくさんお金が貰えるね!!

ちなみに僕はというと、アンデッドが有能過ぎて開拓されていく様をただボーっと見ているだけだった。



二時間ほどして家の外壁がほぼ完成したころ、お嬢様が棺桶から出てきた。


「…………ん、よく寝たわ。ルイス、ご飯」


起きてそうそういいご身分だ。こっちは寝てないというのに。


「川の魚でも食べればいいんじゃないですか?」


「はぁ? 私のご飯はあんただけなんですけど」


「なんですかそれ、新手の告白ですか? 人を食料としか見てない人とか僕無理なんですけど!」


「さすがに人として見てるし告白でもない! 私の、吸血鬼としての体質的にあなたしか無理ってこと」


なるほどわからん。


「そんなの初耳なんですけど、もっと早く言ってくださいよ」


「あんたが寝るから初耳なんでしょうが! …………はぁ、これで最後だからね」


「なんだかんだ言って教えてくれるところ僕は好きですよ」


手ごろな石に腰掛け話始める。


「あなたが寝ないように簡潔に説明すると、吸血鬼は人間の精気を吸い取ることでしか栄養を摂取できないの。しかも厄介なことに個人ごとに体質、人間でいうアレルギーってとこね、これがあるおかげで体質に合わないと生きられないの。で、私の体質的にあなたが一番合ってるってだけ。お分かり?」


「つまり、僕なしでは生きていけないから結婚してくださいってことでいいですか?」


「控えめに言って食料よ。勘違いしないで」


お嬢様のツンデレ、ご馳走様です。


「ほら、説明して理解できたんだから早く食事をよこしなさいよ」


お嬢様に背中を向け首筋を晒す。


「じゃぁ、いただきます」


かぷ、と頸動脈に歯を突き立てる。

精気と言えば分かりにくいが、要は血のような命に直結するものだと思えばいい。

最初のころは痛かったが、今では慣れて気持ち良くまで……はいかないがほとんど何も感じない。

一分ほどで食事は終了した。


「ぷはっ……。やっぱあなたの精気は格別ね。さすが唯一の取柄」


「それはどうも。てか唯一じゃないからね、かっこいいとかイケメンとかモテるとかあるからね」


「……あなたは私のものなんだからそんなのどうだっていいでしょ」


わざとやってんのかこのロリおばさんは。



しばらく他愛のない話をしていると、アンデッド群に指示を出していたクックが戻ってきた。


「ヴィ様、ルイス殿。家が完成いたしました」


先ほどからちらちら見えていたのだが、これはもう屋敷と言っていい大きさだった。


「さすがねクック! 私が思ってた以上に素晴らしいものだわ!」


小さな体を一生懸命動かし走る。そんな恰好で走ったら…………あ。案の定服の裾を踏んづけて見事にズッコケた。

立ち上がり振り返ったお嬢様は若干涙目になっている。

怪我なんてしないだろうに、と思っていたがよく見ると裾が破けている。


「ぐすっ……私のお気に入りがぁ…………」


魔法で直せばいいのではないかと思いいったのだが、


「馬鹿ね! 魔法で作った模倣品が本物に勝てるわけないでしょ!!」


一蹴された。


「今から私の知り合いの鶴のところまで行くわよ!」


「えぇー。僕まだ寝てないんですけど……」


「そんなの知らないわ! ほら、さっさと行く準備しなさい!」


「まったく勝手なヴィ様ですね」


服が破けたのに、とてもウキウキしているお嬢様だった。

そういえば1話のサブタイトルを「もうホント純粋にバカ」から「プロローグ1」にしました。理由は毎回しっくりくるタイトルを考えられないからです。ご了承ください。あと今回も読んでいただきありがとうございました! 次回もよろしくお願いします!

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