はち
やって来ました、王様に会う日!
この日のためにお父様がドレスを新調してくれた。最初は遠慮していたのだけれど、王様の前に出るのに使い古した上にいかにも平民ですって服ではダメだろ、と言われてしまったので渋々納得した。
お父様と馬車で談笑していたら、いつの間にか王城へと着いていた。お城を見上げる。あ〜、緊張してきた。体がこわばり、ガチガチになっている私を見てお父様が声をかけてきた。
「緊張しているのかい、ハンナ。大丈夫だよ。陛下も王妃様も気さくで優しい方だから。多少のことは見逃してくれるよ。」
「は、はい」
とりあえず返事をしたのだけれど、違うのですお父様。私が緊張している理由は、ちゃんと学校に通えるかどうか、つまり魔力があると判断されるかどうか。それに対して緊張しているのですよ。王様と王妃様にお会いすることについてはそこまで緊張していません。
そして色々と手続き等を済ませ、謁見室へと連れていかれる。いざ、王様とご対面…!
部屋には既に王様と王妃様がいらっしゃるので私たちは最上級の礼をする。すると王様が言葉を発した。
「なんという魔力量だ。何故ここにいる?」
…て、もしかして私に言われている?この場でそう言われそうなのは私くらいだと思うのだけれど、これって返事をしていいの?と悩んでいたら、王様がまた口を開いた。
「ケビンの娘よ、名を何と言ったかな?」
「ハ、ハンナです。」
ケビンとはお父様の名だ。つまり私は今名前を聞かれた。だから答えたのだけれど、返事合ってる?これで合ってる?とかまぁ色々なことを怯えていたのだけれど、そんなこちらを無視するかのように王様は言葉を続ける。
「ハンナ、君は何故ここにいる?そんなにも魔力を持っていながらどうして学校に行っていないのだ」
えーと、えーと、私には魔力がないって皆は思っていて、本当は魔力があるんだけど私もないって思ってないといけないから。
「わ、私には魔力があるのですか?」
こうだ!私も家族も私が魔力を持っているとは思わないから多分これでいいはず!ちなみに、王様や宰相様、魔術師団長様などの魔力量が多く、コントールもプロ並みの人達は相手の魔力量がどれくらいか察することができるらしい。
あ、私疑問に疑問で返しちゃった。やばい、詰んだ。
って思ったんだけど、王様優しかった。
「魔力を自覚していないのかない?魔力の測定は?幼少期にやっただろう?」
疑問で返した事を怒らずに会話を続けてくれた。なので私も返事をする。
「いえ、測定はしておりません。私は幼き頃から体が弱かったため、魔力はないと思っておりました。」