にじゅうきゅう
遅れてすみません!!
少し奥まったところにあるこのお店は、一見するとお店には見えないので間違えたかのように思われるのだけど、隠れるように置かれている看板が間違っていないことを証明してくれている。
「で…。」
到着したことを伝えようと、殿下、と声をかけようとして、やめる。お忍びならこの呼び方はダメだよね?
いや、でも、勝手に名前を呼ぶのもどうかと思うし…。
「ヨハンでいいよ」
固まる私に王子サマが声をかける。王子サマの名前ってヨハネスだよね。百合ですらヨハネス様って呼んでるよね。愛称みたいなの私が先に呼んじゃダメじゃない?
「いえ、その呼び方はユーリ様に伝えてあげてください。私はヨハネス様、とお呼びします。」
いや、うん。断るのもどうかとは思うけど、私は百合を悲しませたくないので。
「ヨハネスでもいいけど、様付けは止めてくれないかな?ヨハネスなんて名前はよくいるけど、明らかに敬われているとバレてしまうかもしれないからね」
「そう、ですね。分かりました。それでは、その、この場ではヨハネス……とお呼びさせていただきます」
王子サマ呼び捨てとかムリムリムリ。とりあえず心の中で様をつけて呼ばせていただきます。
「それで、ここが例のお店かな?」
「はい、そうです。それでは中に入りましょうか」
そう言って、扉を開ける。カラン、とドアベルの音が小さく鳴る。ただの家のような外観と異なり、中は商品が並び、一目見ればお店とわかる。
そして、ドアベルの音に反応して店の奥から若い女の人がやってきた。
次話の更新は未定です
すみません“〇| ̄|_




