にじゅういち
それにしても、百合とシリル様は絵になるなぁ。2人とも金髪に黒眼。一言で言えばそうなのだけれど、2人を比べると髪の色はシリル様の方が暗く、瞳の色は百合の方が暗い。ただ、それほど大きな差がある訳ではなく、2人が並んでいてようやく気づくくらいだ。でも、百合が髪を切って男装したらシリル様に見間違えてしまうのだろうな、とは思う。その逆も然り、かな。
私が2人に見とれていると、百合が食べましょう、と声をかけたので皆で食べ始めた。どれから食べようか私が悩んでいると、早々に私の持ってきていた紅茶のクッキーに手をつけた百合は1口かじり、満面の笑みを浮かべた。
「美味しい!ハンナ、本当にありがとう!」
百合が私にお礼を言う。そしてそのままもう1枚取り、シリル様へと渡していた。
「これ、は、紅茶かな?うん。美味しいね」
百合からクッキーを受け取ったシリル様は1口食べ、褒めてくれた。1枚食べ終わり、もう1つ食べようとクッキーに手を伸ばすシリル様を百合が止める。
「お兄様、クッキーが美味しいのは分かりますが、こちらも食べてみてください。みたらし団子というものです」
再び百合から渡されたものをシリル様は迷わず口にする。1つ食べたあと、
「1口サイズの団子にタレがかかっているのか。はじめて食べるけど美味しいな」
百合に負けないほどのいい笑顔でそう言ってくれた。えと、シリル様って少しだけ腹黒の設定があったはずなのだけれど、腹黒みを何も感じないね。
「知らないもの達だけれど、どこで買ったんだい?」
シリル様の問に私が返事をする前に百合が口を開いた。
「お兄様、聞いて驚かないでくださいね?今食べた紅茶のクッキーとみたらし団子は買ったのではありません。そこにいるハンナが作ったのです!!」
堂々と言い放つ百合。その言葉が信じられないないのか
「本当にキミが?」
シリル様が私に質問した。肯定したけど、どうやら信じられないみたい。手っ取り早く信じてもらうには目の前で作ることだと思うのだけれど、さすがにそれは難しいだろうな。と思っていたら
「もう、お兄様、信じられないなら今ハンナに作ってもらえばいいじゃないですか」
百合がそう言った。そして私が待ったをかけるより早く、シリル様が賛成した。
次話の投稿は2週間後の8/9の予定です。




