じゅうきゅう
最初に口を開いたのは百合だった。
「ふー、やっと2人だけになれたね
もう口調崩してもいいや~。あ、紅茶いれるね。」
そう言って席を立つ百合。を止める私。
「公爵家の令嬢に使用人みたいなことさせられるか!」
「今の私はユリアじゃなくて百合だよ。だからいーの!むしろ杏奈相手じゃないとこういうことできないんだからやらせてよ~」
いつもされてばっかりで落ち着かない、といいながら準備をしていく百合。
「この部屋もいいでしょ?あまりにもザ・貴族な感じだと肩が凝るかな~って思って少し落ち着いた部屋に案内したんだ」
うん、それについてはありがたい配慮だ。けれども!
「あ、そういえば、いつも人を呼んだ時ならはじめから机の上にお菓子とか置いてあるんだけど、今日は話したかったから今は出してないんだ。後で食べようね」
こっちに反論させる隙もなく話を続ける百合。気づいたら紅茶が出来上がっていました。すごいトークスキルだ。流石公爵令嬢。
2人で座って紅茶を飲みながら話をする。主に乙女ゲームについてだ。
「杏奈はまだ目指すルート変わってない?」
途中で百合にそう聞かれたので返事をする。
「うん、変わってないよ。次期宰相サマに監禁されたい。でも私まだ一度も百合のお兄さんと話したことないんだよね」
姿は知ってるし、教室にいるのは見たことがあるけど、会話はしていない。今度機会を見つけて話しかけてみようかな?と考えていたら
「シリルお兄様、今日家にいるから呼ぶ?」
と百合が聞いてきた。え?
「いいよいいよ!いきなり呼ぶのは迷惑だろうし、特に話すこともないし!」
ビックリした。いきなりそんなこと言わないでよ~
「話題くらいお兄様が振ってくれるよ。ほらもう2時半だし、ティータイムって言って呼ぼ!」
そう言って百合は外にいた侍女にティータイムにするから用意したお菓子と、私の持ってきたお菓子を運ぶことと、シリル様を呼ぶ事を伝えていた。
え、まって。何の心積もりもしないまま将来監禁してほしい相手に会うの!?
うわ、緊張してきた。
次の更新は7/12を予定しています。




