いち
「ハンナ、13歳の誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます、お父様!!」
お父様が祝いの言葉を告げたのをきっかけとして、他の家族も私のことを祝ってくれた。
「お前ももう13歳か…。私たちが貴族だったらお前もバルツァー学校に通っているんだろうな」
バルツァー学校ってたしか、
「この国にある唯一の学校ですよね?魔力のある人は通う義務のある」
私が思い浮かべた情報をお父様に伝えるとお父様は肯定してくれた。
「そうだよ。私たちは商人として成功したからお金はあるけど、魔力と爵位はないからね」
魔力はお貴族サマが持つものであって、爵位のない一般庶民が持つことはとても稀。というのがこの国の常識だ。全く居ないわけではないらしいけど、私は体も弱いし魔力は持っていないでしょう。お母様も体が弱いから、私の体が弱いのも血筋だと思うのだけどね。
魔力を持っていると体が強くなるらしい。魔力が体を保護してくれると聞いた。子供でも、お貴族サマと私たち平民では体の強さが大きく違うから、お貴族サマには逆らってはいけない、と親から言い聞かせられている。
私は昔からよく熱を出して家で寝ていたのでお貴族サマに出会ったことはないのだけれど、今後はきっと会うこともあると思う。成長するにつれて体も少しずつ強くなっていったから、これからはお父様の仕事を手伝いたいと考えている。お父様の仕事について行き、色々なことを学んでいきたい。お父様はお貴族サマ相手にも仕事をしているので、今後はお貴族サマ相手の注意点なども一緒に学んでいきたいと思っている。お父様も、私の考えを聞いて喜んでくれたので早く手伝えるようになりたいな。
等と考えつつ、その後も家族とご飯を食べ、私の13歳の誕生日の祝いは過ぎた。