第2話を始める前にご挨拶
炎のバレンタインから半年後。
夢の実現に向けて頑張るあたし、篠山美久からオープニングのひとことを。
あたしの魔術師は、フツーの街に住んでいる。
「ウィザード」という占い館・兼スナックの住人。
名前は如月吹雪。職業は占い師。
あたしの2コ上で22歳になる。
あたしはウィズと呼んでいる。
これまで予言が外れたのは、たった一度きりだ。
正確には外れたんじゃない。半年前に死の予告を必死で外したのだ。
もしそうしなかったら、ウィズもあたしも今頃はこの世にいなかった。
現代の魔術師のルックスは、つくりものと間違えるほどキレイでゴージャス。
性格は温和。天然3割、気分屋でごくたまにプッツン。
女性用の香水や化粧品の香りが死ぬほど苦手。
幼少期のトラウマが原因‥‥らしい。
あたしの夢は、2つある。
ひとつは、子供の虐待防止に関わる職業に就くこと。
それでこの春から受験生になった。
児童福祉学科のある大学に行くためだ。
2つめの夢は、彼‥‥ウィズこと如月吹雪のトラウマを取り除くこと。
そして同時に、彼が過去に犯した罪を受け止めて笑って許すということだ。
半年前に魔術師は予言したのだ。
ウィズの罪を知ったあたしが、ウィズを嫌って離れる、と。
性的トラウマ、実はあたしにもちょっとある。
そのおかげで、崖っぷちでバージンのまま今日に至る。
こんなあたしが、男性の性意識を解放するようなマネができるんだろうか?
でも、それが出来ないと、この男性は絶対手に入らないのだ。
では第2話を始めましょう。どうぞよろしくお付き合い下さいませ。