ソロプレイヤーは趣味を尊ぶ

１話

『キーン コーン カーン コーン』

学校に放課後を告げる鐘が鳴り響く。

「ふ〜。今日はバイトも入ってねーし、さっさと帰ろかね〜、お楽しみが待ってるしな！」

帰り支度を終え、今まさに帰ろうと廊下に足を向けた時

『ガッガラララー』

勢いよく教室の扉が押し開かれ、喧しい足音と共に人に話しかけるには大き過ぎる声が聞こえる

「おいおいおぃ、俺を置いてくさっさと帰ろうとすんなよ！”刃(じん)”！！」

「はぁ〜、あのな〜話しかけるのにそんな馬鹿でかい声出す必要ないでしょ！喧しい！！只でさえお前は図体もでかくて暑苦しいんだからさ“大樹(だいき)”」

話しかけてきたのは、180以上の身長、制服を着ていても分かる隆起した筋肉、この体だけは無駄に成長した奴(バカ)は俺こと柊刃柊刃(ひいらぎじん)の幼馴染である”火河大樹(かがだいき)”小学校からの腐れ縁だ。

「わりぃわりぃ、で帰えんなら一緒に帰ろうぜ！

でよぉ、刃も勿論買っただろ”SS”！！」

“SS”とはSword(ソード)& Sorcerers(ソーサラー)今日の午後16時からサービス開始されるVRMMOだ、発表初日はニュースにも取り上げられ大きな騒ぎになった。

「まぁね〜、お前だって知ってんでしょ、俺の趣味！この俺が見逃すわけないじゃん」

「まぁ刃なら、そうだよなー只でさえ”SS”はグラフィックとか色々やべぇーって話だし超楽しみだよな！」

「とりあえずさっさと帰ろうぜ〜、お前だって早く帰ってキャラデザすんだろ、PN(プレイヤーネーム)だけ教えあっときゃゲーム内で合流出来るだろうし」

「そうだな、さっさと帰るか！んじゃ後でPNをLI◯Nで送るから向こうでフレコしてくれよな！！」

会話を終え帰路につく俺と大樹、お互い”SS”が楽しみすぎるのか気付かぬうちに早足となっているのだった。