阿波情勢
阿波の国は乱世の真っ只中。元々が畿内騒乱の中心人物とも言える三次家の拠点の1つであったため、パリを失ったあとの仏領アフリカ植民地同様阿波の国は、兵と物資両面の供給地としての役割を果たしてきたのでありましたが、ここに播磨の垢松と紀伊の錫木家が紀伊水道の覇権を賭け争う構図が加わったこと。更には三次家の被官。松長家が大和の国で自立したため、三次家もこれまでの中央政界中心の考えから紀伊水道志向にシフトしたため、摂津に播磨。紀伊に讃岐。そして阿波の5か国は淡路島を介し、取っては取られ。奪い返してはまた別の場所が奪い返されると言った。いったい本拠地はどこであったのか?わからない泥仕合が。私が土佐の河川改修に忙殺されていた時期に繰り広げられ、現在もその状況が続いている。それだけ平和な時を我が土佐の国は続いていた。なら別にわざわざ火中の栗を拾うような真似をしなくても良いように感じるのではあるが……。先進地域である畿内と海を介し境を為す阿波を手に入れることは、経済的にも文化的にもこの上ないメリットが存在する一方。こちらも常に攻め込まれるリスクを抱えることになる。伊予同様。相当の覚悟を持って臨まなければ。1つのいくさに勝利を修めるだけでは駄目。勝った後、維持し続けるだけの備えを残した上で勝ち取らなければ意味がない。そのためには今までのような戦い方。勇気を持って突撃を繰り返しているようでは物心両面の損耗激しく、永続的な統治を成し遂げることは難しい。ならば内応と言う選択肢も考えることは出来るのであるが、主家を裏切らせるだけのメリット。原資を出すだけの余裕は今。我が長谷部家には無い。自前の戦力で勝ち取る以外ほかはない。今後繰り返し襲来を受けることになることを想定すると攻めるにせよ守るにせよ極力兵を損ねることなく勝利を修め続けなければならなくなる。この身勝手とも思える希望を叶える方法は無いものか?伊予・阿波の周辺には無く、我が土佐に存在するもの。もしくは今後、存在する可能性のあるものと言えばなんだ……。
と元親はこれまでとは別の視点で土佐の国を歩き回るのでありました。