甘美な記憶 4
ふぁ〜あ。よく寝た。いま何時だろ?
時計を確認するとまだ夜中の2時だった。
小腹の空いた俺はドンキホーテで買ったプーさんの着ぐるみに着替えコンビニへと足を運んだ。
コンビニに向かう途中俺は色々な事を考えていた。
勝てるはずの試合を接戦のすえ落とした理由。この先どう頑張って良いのかなど。
考えれば考えるだけ涙が止まらなかった。
その時後ろから暖かい手が僕を包み込む。
「俺がついてる。強がらなくて良いんだよ。男の子だって泣いたっていいんだ。」
俺はこの日、何故か片言を卒業していたロベルトの胸に抱かれ何も言わずにただただ涙を流した。
〜そしてこの日2人は1つになった〜
目が覚めるとロベルトが公園のベンチに豪華なコンビニ弁当を並べ少年のような笑顔でこちらへ手招きした。
「おはよう。腹空いただろ?沢山食えよな」
そう言うとロベルトは俺の唇にフレンチキスをした。
「妬けるの〜」
こう言うのはこの公園の主の狭間さん(49歳)
ロベルトは照れ臭そうに頭を掻くと「じゃあ俺そろそろバイトなんで」と軽く会釈し自転車でバイトに向かった。
本当はクラスのいじめっ子にお金を払いに行く事を俺は知っていたが笑顔で見送った。
その直後に狭間さんが何やら思いつめた表情で話し掛けて来た。
「良いなぁ君は…あんなに優しそうな子に想われていて。俺には家族も無ければ家も無い。年齢的に再就職も難しい。出来たとしても服を買う金も無ければお風呂に入る金だってない。自己破産をしていて金も借りられない。こんな人間を雇うかね?俺は働きたいのにどこも俺を雇わない。そんな俺を見て国は手を差し伸べるどころか公園からも俺を追い出そうとする。行く場所が無いからここにいるのに国は俺をどこにやりたいんだろうな。分からないよ…」
何て言ったら良いの分からなかった。
困った俺は狭間さんにロベルトの財布を渡すと何も言わずに立ち去った。
金も持たずに出掛けたロベルトは今頃リンチにあっているのだろうと考えたら俺は涙が止まらなかった。
試合に負けたのも狭間さんが悩んでいるのもロベルトが殴られているのも全部人間のせいだ…俺はそう思いスーパーの試食コーナーで1日時間をつぶした。