ドミトリ 1
本編1-2から1-11までのドミトリです。
エロは無いです。
虐殺も無いです。
調べれば調べるほどに得体の知れない奴ら。
それが俺の正直な感想だ。
俺が指輪を見せられて、アイツ等の事、指輪の出所だのを調べるよう依頼されたのは、ジックに誘われて飲みに行った店での事だった。
こういった品は、大体がそれに釣り合ったヤツが持つべきものだ。
腐れ縁のツレが買い取った品は、見るからに細かい細工の施された銀の指輪が幾つか。
それに加えて、驚くほどに精巧なカットが施された、知っている宝石に似てはいるが、名前も知らないような珍しい宝石を金の台座に嵌め込んだ指輪。
それこそジックでも値段の付け様が無いそれを、相手はジックが冗談で言ったような金額を元に交渉を始めたのだと言う。
その辺りは流石に商人と言うべきか、言い負かして相手が上乗せした金額から引かせるどころか、ジックの出した元値から更に下げさせたと言うから無茶苦茶だ。
そんな品だが、物自体はそれこそ大貴族が所持していても見劣りしない物。
これほどの代物を辺境の町に持ち込んだ男達は、どう見ても貴族にゃ見えない、仕えている訳でも無さそうな物の価値も分からぬお上りさんだと言うから、出所が何処なのか嫌でも興味を引くのだと。
持ち込まれたその日の中にこうやって依頼を持ち出すくらいだから、事に由っちゃ、何処か知られてない遺跡から出た物かも知れないのだろう。
まあ、飲み代を何日か奢って貰う事で手付けにし、ちょいと下調べして調べる価値が有りそうだったら本格的に調べる、という事で決まった。
実に面白い、としか言い様が無い。
コイツ等、物を知らないにも程がある。
何処の里で育てられればあんな風になるんだろうな?
話し方には変な訛りがあるものの、少なくともこの辺りの出である事は確かなんだろうが、それ以外にも話し言葉を持っているようだ。
この辺りじゃ子供でも知っていそうな事を興味深く質問してくる。
それこそ何処かの辺境の隠れ里で育ったという話にも信憑性がありそうな程。
碌に外との接点が無ければこんな風になるのだろうか。
だが、余りにも無防備な行動していたり、そうかと思えば考え無しとも思えない頭の良さをしていたりと、印象は兎に角ちぐはぐで、どうにも掴み所が無い。
だが、悪い奴等でも無さそうだ。
それに理解力もかなりのもの。
マナーってモンが分かってくれば、この町でも普通に溶け込んで暮らせるだろう。
それにしても、コイツ等こんなに金遣いが荒くて大丈夫なのか?
どうせ口止め料と考えてるのはコイツ等の頭の良さからいって間違いないんだろうが。
この分じゃあ、まだまだタマは持ってます、ってところなんじゃねぇのか。
下手したらアレだけのモンをまだ持っていそうな事に本気で頭が痛くなってくる。
興味は惹かれるんだが、どうにも善人っぽい田舎者をアレコレ調べるのも何か良心が咎める。
ここは素直に買収されておこうかね?
アイツ等ほんとに面白い。
調査の方は継続するが、金を取って本格的にやる心算は無い。
何処からやって来て、何処に帰っていくのか。
町の外での活動は、俺にはちょっと荷が重いな。
しかし、危なっかしいにも程がある。
何だ、あの兎種の取り巻きは。
目立つにも程があるだろうよ。
まあ、お金持ちの御大尽だったなら女を囲うのもいいだろうが、兎種をアレだけ侍らすとか何やらかしてんだ。
彼女らは、高級な娼館じゃあまり目立たない程にはそれなりの数が働いているが、それこそ金や情では囲えない。
客としては相手してくれるし、贔屓の客になれればサービスは良くなるが、喜んで囲われてくれるのはそれなりに権力を持ってる相手だ。
アイツ等が其れ程の権力者だとでも?
有り得ないな、そんなニオイは感じなかった。
お上品な所はあるが、如何にも平民出と見えるしな。
まぁ、アイツ等の事だ、奢って貰った額からいえば、話だけだと貰い過ぎだからな。
あのシューヘーと言ったヤツとケンタなら、ちぃとばかり顔を見せてやれば其れなりに警戒するはず。
せめてもう少し時間を掛けて町に馴染んでくれれば、文句は無いんだがな。




