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ハンナロア 1

華やかな明かりがステージを照らし出し、そのステージに躍り出る私達を、今日もまた多くのお客さん達が歓声を以って迎え入れてくれる。


ガラスに守られたその灯が揺らめいて消えてしまうんじゃないかと思うほどに、肌をビリビリと刺激する声量。


さあ、私を見て?


そう、私達を見て?


私は、私達は、貴方の為のウサギなのよ?


貴方の視線が、太陽の光よりも(なお)、私の肌を焦がすの。


貴方の歓声が、小鳥の(さえず)りよりも尚、耳に心地良いの。


だから、私を見て?




※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※




カンカンが終わり、私は何時もの様に客席を巡り始める。

カンカンは私達、兎種全体に受け継がれる踊り。

ううん、カンカンだけじゃない。

ベリーもラインも元々は私たちの間で受け継がれていたの。

私が生まれるずっと前に、いえ、お母さんのお母さんが生まれるよりもずっと前に、他の種族の人にも広まって行ったんだって言ってたわ。

それに感謝した他の種族の人達は、カンカンだけは兎種以外の人は絶対に踊らないと約束したんだって。

カンカンだって1種類だけじゃないもの。

だから、お客さん達の視線は何時だって私達に釘付けなのよ?

今日もあの人達が来ているわ。

何時も私を買ってくれる人達。

二人で何時も張り合っているの。

でも残念。

私は知っているの。

本当は背の高い人の方がお金を多く持っているのね。

だけどその人は優しいから、2回か3回に1回は、もう一人の人がギリギリで勝てるように値段を決めてるわ。

背の高い人はポントスさん。

相方の人はクレメンテールさん。

商売でも二人は張り合ってるんですって。

男の人は色々な事を謀るけど、女は色々な事を知っているのよ?


何時ものように、Aコースのソファーを回ってクラントス様にご挨拶。

この町を守る軍人さんと言うけれど、攻め込む敵は何処にいるのかしら?

東の辺境伯様かしら、それとも西の子爵様?

残念、南の魔物は崖を下りられないの。

だから天幕の代わりに娼館を巡って士気を鼓舞してるのね。

そうしてBコースの席に来ると、見たことのない人達がいたの。

その髪の色は焦げ茶?

ううん、もっと濃いわね。

初めて見る色よ?

着ている服も見たことのない物、民族衣装かしら?

きっと、ずっと遠くから来たのね。

私を買ってくれないかしら。

そうしたらゆっくりお話出来るのに!

あら?

あの人たちに近づいたらいい匂いがするの。

蜂蜜よりも甘い匂い。

誰からかしら?

何だかお腹がキュッとして・・・。

これは・・・。


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