メリィとクレド
「うーん。」
地図を手にしながらメリィは辺りを見回しました。
眼下には見渡す限りの草原、後ろには今まで歩きやっと抜けてきた森、そして今立っている場所は景色はよく見える崖。
「どうすんだよメリィ。これ以上進めないぞ。道、間違えたんじゃないか。」
聖獣種族にあたるカムロ(真っ白な毛並みの獣の体に黒い羽根を持つもの)のクレドはメリィの足元で羽根を整えながら言いました。
「いや、地形が変わってしまったんだと思う。この辺は自然も豊富みたいだし、大地が元気なんだよ。でも、そんなに古い地図じゃないのにここまで違っているとは珍しいね。」
「で、これからどうするんだ。目的地変更か。」
「変更はしないよ。キイマには空の神殿っていう入口のみつかってない遺跡があるらしいんだ。ぜひともその内部を絵にしたいと思っているからね。」
「でも、オレは飛んでこの崖越えられても人間には無理だろ?」
「仕方ない、さっきの標識のところまで戻って一番近い街へ行こう。新しい地図が必要だからね。」
そう言ってメリィは手にしていたトランクを持ち替え、同時にクレドは黒い羽根を広げました。
二人、(正確には一人と一匹)が標識を確認してしばらく歩いて行くと高い塀が見えてきました。
「あれなのかなぁ…。」
灰色の壁、壁、壁。ずーっと続いているようです。
「よし、オレが高く飛んで見てきてやるよ。」
そう言ってクレドは一度メリィの肩に登り、弾みをつけるとあっという間に上がっていきました。
メリィの方は、目の前に広がる風景を端から端まで見てみましたが人影もみつかりません。
「メリィー、街はあるぜ。あの塀の中にいっぱい建物が見えた!」
クレドは少し興奮しながら叫んでいます。
「どうしたのクレド。何か面白いものでもあった?」
「すごく広い街だ。きっと美味しいものもたくさんあるぜ。間違いない。」




