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6話 記憶 by恋




「お前が好きだ」



何となく勘付いていたのかもしれない。


拓海の気持ちが私に向いていることを。


でも私は見てみぬ振りをしていた。


少し涙で濡れた頬を、拓海が触れる。


「恋…俺を仁先輩の代わりにしても良い」


私は横に首を振る。


言葉も出ずに私は口を結ぶ。


「遠慮しなくて良い。俺はそれを望んでるんだ。今のお前には新しい思い出が必要だろ?」


新しい思い出…


仁との思い出は多くありすぎた。


きっと、これを新しく塗り替えれば自然に忘れられるのかもしれない。


私は黙りこくると、拓海は静かに顔を近づけてくる。



私は暗黙した。


目を瞑る。



そっと、拓海の唇が私の唇に触れた。


拓海の腕が私の背中を這う。


私も拓海の背中に腕を回した。


仁と、似た感じ。


キスしてる間に少し思い出した。






『恋…キスしても良い?』


生徒会室で仕事中に仁は私に呟いた。


2人きりの生徒会室の中で、私は頬を赤らめた。


『仁せんぱ…誰か来るかも知れないじゃないですか…っ』


仁は少しづつ体を寄せてくる。


『こら、仁って呼べ。何回言えば分かるんだよ。それから敬語はナシ。恋人っぽくない』


『じ、仁…』


呼び捨てで呼んでみると、仁は了承なしに私にキスをした。


唇はやけに熱くて、体中が燃え盛るようだった。


唇を離した後、仁は悪戯っぽく微笑んだ。









「恋…?」


いつの間にか私は拓海にキツくしがみついていた。


でも、少し安心した。


拓海の匂いは、いつも私を落ち着かせてくれる。


「お願い。このままでいて」


私がそっと呟くと、拓海は優しく私を、またさらに抱き寄せた。


拓海。


お願いだから…私の中から仁を消して…。



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