貴方は私を落ちぶれていくものと思っていたようですが……残念ながらそんなことにはなりませんでした。
「お前なんてなぁ、価値なしなんだよ! パッとしねぇ、ダッセぇ、そんな女! 誰が愛するって言うんだ! なぁ? 俺だってもっと魅力的な女と結ばれたいんだ……だからな! お前とはここまでにするんだ! 俺はもう縛られねえ。自由に、愛を第一にして、生きていくんだ! お前との婚約は破棄とする!!」
婚約者アバンダーツに突然そんなことを言われてしまい。
「ま、せいぜい、泥でもすすって生きていけよな」
言い返すことすらできないまま捨てられてしまった。
問題なんてなかった。
揉め事があったわけでもない。
私たちの関係に乱れはなかったはずだった。
なのにこんなことになるなんて……。
正直、悲しい。
だがこの悲しさもいつかは消えるだろう。
時こそが最も効果的な薬だから。
どんな悲しみも、どんな痛みも、時が過ぎてゆきさえすればいつかは癒える。
そう信じて生きていこう。
強い心を持って。
◆
「王妃さま! こっち向いてくださいーっ。ウインクしてー!」
「ああ、今日もお美しい……素敵だわ、本当に。どうしてあんなにお美しいのかしら。本当に凄い方よね、王妃様は……」
「大好きですーっ!!」
「こんなに素敵な王妃さまがこの国に誕生するだなんて驚いたわ」
「好きですーっ!!」
あれから十年、私は、色々あってこの国の王妃となった。
夫は結婚時王子だった。
だが時は流れ。
彼はやがて王となった。
……その時が来るのは思ったより早かったけれど。
「王妃さま! こっちを見てくださいーっ。綺麗すぎますーっ。お願いですからー! ウインクしてー!」
「ああ、どうしてあんなにお美しいのかしら……目にするだけで心が潤うわ」
「大好きですよーっ!!」
「これからが楽しみになってきたわ」
「好き好き好きですーっ!!」
ちなみにアバンダーツはというと、先日処刑された。
夫が王位に就く、ということを報せるパレードの日に、アバンダーツは命を奪おうと考え危険な物体を持って列に突っ込もうとしてきた。
護衛が制止してくれた。
なので被害はなく。
王である夫も王妃である私も無事だった。
その一件によってアバンダーツは捕らえられ、やがて処刑されることとなったのだ。
◆終わり◆




