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したいかできるか

 あまりにのんびりし過ぎてて、先生にそこ、しっかりやれと怒られた授業も終わり、お昼の時間になった。

 小夏がトイレに行くとのことだったので、私は白葉ちゃんと二人で教室に戻る。


「ところで、なんで急にキスの話とかしてきたの?」


 どうやら白葉ちゃんは、心地良さで大して気にしていなかったわけではなく、とりあえずスルーしてくれていただけみたいだった。


「よく、分からなくなって。白葉ちゃんは付き合っていたのにキスが嫌だったんでしょ。私は付き合っていないのに拒まなかった。あまり抵抗感がなかったの。段々と分からなくなるの。本当に。好きってなんだろうって」

「そっか〜……」


 白葉ちゃんは難しい顔をして、ん〜としばらく唸っている。


「キスしたいと、できると、できないは、好きの中にも存在する。キスしたいは確実に好意を寄せている証拠だろうね。でなければ生粋の変態だよ。できるはまあ、好意的に思っているけれど、別にそこまで能動的じゃないってことじゃないかな。あたしは、いぶっちゃんとしようと思えばキスできるよ。でも別に、好きになってほしいとかそういうのはないから。嫌いなわけじゃないけど、そこまでの関係になりたいと思うほど、いぶっちゃんに固執してない。できないは、今の関係が心地良いとか壊したくないとか。もしくは逆に、大して興味がなかったとかじゃないかな。前者は家族で、後者は彼氏。いぶっちゃんはどれ? すっちゃんとキスしたい? それともできるだけ?」

「さあ。どっちだろうね。嫌じゃなかった。これが今私が言える最大限の答えかな」

「そっか。でもまあ、焦らずゆっくりでいいんじゃないかな。一番の問題は解決したんでしょ」

「うん……でも、すみちゃんはそれを望んでいない」


 私がゆっくりする分、焦るすみちゃんが想像できる。

 ずっと昔から好いていた。最近になって全てを知ってもらえた。そんな状況で、悠長に相手の答えを待てる人がどれくらいいるだろうか。


 きっと人は期待する。こんなに長く愛して、こんなに私を理解してくれたんだから、きっと私を好きになってくれるはずって。相手が他の人と結ぶ状況なんて想像できないし、想像したくないと思う。

 だから、とにかく焦ると思う。他の誰にも奪われない為に。


 特にすみちゃんは自分にあまり自信を持っていないからこそ、余計に焦ると思う。だから、昨日のあれもあの発言も、その焦りゆえのものだと思う。あれでも十分抑えた方だと思う。


 でも、もう限界が近いと思う。このままにしていれば、すみちゃんはきっと、自分が後悔することをしでかす。


 だから、すみちゃんが後悔する前に、すみちゃんが焦る分、私も急がないといけない。急いで、答えを出さないといけない。


 あゆちゃんが言っていたみたいに、とりあえず付き合って、とりあえずやる事やって相性見る方が手っ取り早いとは思う。でもそれは、私達には相性が悪いから使えない。そもそもそのせいで拗れていたから余計に。


「一つアドバイスをするとしたら、今あるもののありがたさは、失う事で初めて真の大切さに気づくんだよ。いぶっちゃんは想像力豊かな方かい?」

「どうだろう。あまり深く物事を考えた事ないから」

「じゃあ、想像力が豊かな事に賭けてやってみようか。すっちゃんがいなくなる想像じゃなくて、すっちゃんからいぶっちゃんへの好意が無くなる想像を」


 白葉ちゃんはそう言ってくれたけど、多分想像力云々以前に、私はそれができない。

 きっと、私の中にあるすみちゃんは全て、ずっと私に思いを寄せていたすみちゃんで形成されている。私にとってのすみちゃんの根幹を無くしたすみちゃんは想像できない。

 例えば、小夏が誰に対しても冷たくしている想像ができないように。ある種ファンタジーの空想に捉えられてしまう。

 となると、やれる事は一つしかない。

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