雑談
澄み渡る青い空。照りつける太陽。頬を撫でる穏やかな風。騒がしい場所に身を置きながら、映る視界はとても静かな自然。
あらゆる警戒心や緊張を自然と解き、人との間に優しさを生む、まさしく良い天気という言葉がぴったり当てはまるこの環境が私は好き。
体育の時間。小夏と白葉ちゃんと日向ぼっこをしながら脳を程よく溶かしている。
「あったかいね〜」
「暑いくらいだな〜」
「じゃあいぶっちゃんから離れた方がいいよ」
「それとこれは別だな〜」
私の両手首は小夏に掴まれ、小夏のジャージのポケットに一緒に手を入れ、そこで握ったり摩ったりしている。
「ほんと、いぶっちゃんには甘えんぼさんだね」
「依吹っちは甘えさせてくれるからな」
「白葉ちゃんも小夏なら甘やかしてくれると思うけどね」
そう口にすると、二人との間に若干気まずい空気が流れた。
肯定も否定も、冗談も笑いもせず、ただただ黙っている姿を見て、これ以上踏み込む気が起きなかった。
私の失言は風が運び、太陽が焼き、空に散ることでなかったことにされていく。
皆、すぐに静かにこの環境に身を任せ、何も考えなくなる。それゆえに、脈絡を気にせず、自分の中で気になることを率直に何も考えずにストレートに口にできる。
「白葉ちゃんってさ、彼氏いたよね」
「まあねー」
白葉ちゃんも同じで、頭の回転を最小限にしているのか、この突拍子のない話題にも特に何も思うことなく、無難な返事をする。
だから私も、心置きなく会話が続けられる。
「付き合ってる時はやっぱり好きだったの?」
「んー。さあね。よく知らずに付き合ったから。あんま好きじゃなかったんじゃないかな。だから浮気されても怒りだけで悲しみは無かったし」
「そっか。……キスはしたの?」
「急にぶっこむね〜。変な知識植えられたのか、はたまた女子が大好きな恋バナをしたいのか」
「ちょっと興味が湧いて」
「あたしも気になるぞ! 彼氏がいた時の白葉っちの事あんま知らないからな!」
白葉ちゃんはため息を吐いて、面白くないと、面倒そうに口を開いた。
元カレのことをあまり話したくないのか、本当にただただ期待するような言葉を吐けないからなのか、それともどちらもあるのか、もしかしたら他の何かかもしれない。
とにかく、白葉ちゃんがため息を吐いて口を開いた後、その口から言葉が出てくるのはそれなりに時間が掛かった。
「してないよ。されそうになったけど、寸でで身体が受け付けなくてやめた。まあ、だから浮気されたんだろうね。デートはする。キスはしない。やりたいことやらせてもらえないなら、やらせてくれる子に靡くだろうね」
「やっぱり、そういう欲は我慢させていると、人は好きでも興味を失うのかな」
「さあ、どうだろうね。少なくとも、求めているものを何もくれなければ去るだろうね。人が求めるものはそれぞれだから、一概には言えない」
「あたしは依吹っちが側にいてくれるだけで十分だぞ!」
「ありがとう小夏。私もだよ」
「そんなくっついてて説得力ないよ二人とも」
「それはそれ、これはこれだ。依吹っちが側にいてくれるだけで十分だけど、もっとくっついていいならくっつきたいぞ!」
どこか誇らしそうにしている小夏に、白葉ちゃんは額に人差し指を触れさせ、威張るなと軽く人差し指で額を押した。




