小夏とデート
今日は小夏と遊ぶ日。朝早くの集合だけれど、果たして小夏はちゃんと来られるのだろうか。
学校は授業始まるとすぐ寝ているから朝早くても大丈夫なんだろうけど、今日は遊びだし。
まあ、途中で小夏が寝ちゃったらおぶってどこか寝かせられるところに移動すれば問題ないか。
「依吹っちー! 来たぞー! ついにデートだー!」
横から思いっきり突進して、いつものように抱きついてくる。
「おはよう小夏。今日も元気だねー」
「電車で寝過ごしそうになったけどな! でも遅刻しなかったぞ。偉い⁉︎」
「うん。偉い偉い」
小夏の頭を撫でると、いつもみたいに満足そうにしている。
「それにしても、依吹っちかっこいいな! おしゃれさんだ! あたしも依吹っちに似合うくらいおしゃれしてくれば良かった!」
私は昔から王子様に憧れていて、まずは形からと、良いところの坊ちゃんみたいな格好をしている。今でも私服はこの服装に統一されている。憧れに近づけている気がするし、おしゃれだし、何より、こういう服装が大好きだから。
「ありがとう。小夏にそう言ってもらえて嬉しいよ。小夏も今のワンピース姿で十分お嬢様みたいに可愛いよ」
「依吹っちにそう言われたらそう思えてきた! おしゃれさん同士、まずは映画館にゴーだ!」
「ゴー!」
小夏と一緒に腕を上げた後、腕を組んで映画館に向かった。
◇◆◇◆◇
小夏は朝ごはんを食べずに慌てて出てきたらしいので、ポップコーンペアセットに加えてホットドッグとポテトも追加していた。
「大丈夫小夏? 食べられる?」
「安心しろ依吹っち! 今あたしはめちゃくちゃお腹が空いている!」
「そう? 小夏が平気なら良いけど、無理はしないようにね」
「うん!」
上映開始前から美味しそうに食べ始めたが、上映開始後、徐々にポップコーンに伸びる手の頻度が落ちていった。
アクション映画だし、見入っている可能性も考えられるけど、時々目があって笑いかけてくるから、映画に釘付けになっているという印象ではない。
それにさりげなく、いつから持っていたのか分からないポップコーンを、目が合った時に私の口に触れさせて食べるように仕向けている。
やっぱり、小夏はお腹いっぱいになっていたようだ。
ポップコーン、私が食べてもいいのだけれど、割り勘したのにほとんど私が食べるというのも申し訳ない。
「面白かったな依吹っち! 特にビルからビルに移る時のシーン! 足りない飛距離どうするんだって思ったけど、車を発進させて、途中の足場にするのかっこよかったな!」
「そうだね。しかも落ちた車が爆発するのも映像映えしたし凄かったね。それと小夏、これ」
「なんだ⁉︎」
私はポップコーンを入れた袋を小夏に渡す。
「小夏、ポップコーン全然食べてなかったでしょ。だから、もしよければ。袋はちゃんと綺麗だから」
「おお〜! 流石は依吹っちだ! ありがとう! 帰りの夜食にするぞ!」
「いいね。映画の事も思い出せそうだし、美味しいだけじゃなく、楽しい夜食になりそうだね」
映画の後はお腹を空かせるためにウィンドウショッピングをする。
「おお! 依吹っち、水着のセールしてるぞ!」
「本当だ。やっぱり少し早い時期から安売りするんだね」
「一緒にプールと海行く時の水着見るぞ!」
「その時のお楽しみにしなくていいの? 小夏そういうの好きでしょ」
「むっ⁉︎ そういうサプライズ要素もいいな! でも、お勧めしあうのも楽しいと思うぞ!」
「確かに。じゃあ、私のは小夏に選んでもらおうかな」
「任せとけ!」
私達は別れて、互いの水着を何着か見繕った。
「こ、小夏さん……これは……」
私が小夏に選んだのは、洋服と遜色ないデザインの水着だったが、小夏が選んだのは全てビキニだった。
「どうだ⁉︎ 気に入ったか⁉︎」
「その、デザインはとてもいいと思うけど、私が着るにはちょっと、ビキニは大人すぎないかな?」
「依吹っち意外と胸あるんだから出さないと損だぞ! 背中と顔で触り続けたあたしが言うんだから間違いない!」
「そ、そう……なの?」
「そうだ!」
自信満々に嬉しそうにしている小夏を見ていると、ビキニは着たくないと口にできない。
「せ、せめて、ラッシュガードとパレオは許してください」
「いいぞ! 日焼け対策は大事だからな! 別にあたしに許可取る必要はないぞ! あ! だったら依吹っちが気に入った水着に似合うやつあたしが選んでやる!」
「お願いします」
最終的に、小夏はお腹が出るタイプの下が半ズボンスタイルの水着を選び、私は一番好評だった黒のビキニを選び、それに合わせて小夏が黒のパレオと白のダッシュガードを持ってきたので、それをそれぞれ購入した。
「水着も買えて大満足だ! ──あっ⁉︎ カラオケの時間まであまり時間ない!」
「あー。お昼ご飯どうする? カラオケで食べる?」
「歌っている時に入って来られるのはな〜。依吹っち、友達とラーメンについてどう思う?」
「いいと思うよ。ラーメン美味しいし」
「だから依吹っち好きだ! 行くぞ!」
テーブル席は空いていなかったので、カウンターに並んで座ってラーメンを食す。
小夏が味玉ラーメンにすれば良かったと私のラーメンを見て言ってきたので、一個分けてあげると嬉しそうにしていた。
「美味しかったなーラーメン! 久しぶりで大満足だ!」
「あまり行かないの?」
「ラーメンは好きだけど、遊ぶ時に中々言い出せないんだ。ラーメン屋は長く居座って話せる雰囲気じゃないから、提案してもあまり受け入れてくれない。結局、ファミレスになることが多いな」
「そっか。じゃあ、今日はラーメン食べれて良かったね。また、一緒にラーメン食べようね」
「もちろんだ!」




