クリスマス
クリスマス。今日は遊園地に行って、イルミネーションを見に行く。
昨日は私の都合で、カラオケだけにしてもらったから、今日は思いっきり楽しんで、景色を目に焼き付ける。
「やっほーいぶっちゃん」
「白葉ちゃん、おはよ──」
白葉ちゃんの隣には、コートのポケットに手を入れて、睨むように私を見ている美浜ちゃんがいた。
「えっと、美浜ちゃんだっけ。おはよう」
「気安く名前を呼ばないでちょうだい。私はあなたと親しくも、ましてや知り合いでもないのよ」
顎を少し上げて、見下げるようにそう言った美浜ちゃんを、白葉ちゃんは手を開いて叩いた。
「痛った〜」
「約束したよね、面倒起こさないって。破るなら帰ってもらうよ」
白葉ちゃんにそう言われた美浜ちゃんは不貞腐れた表情を向けた。
「仕方がないから特別に許してあげるわ」
「ありがとう」
「ごめんねいぶっちゃん。厄介なの連れてきちゃって」
「ううん。そんな事ないよ。美浜ちゃんの言う通り、私達はまだ知り合いとも言えない関係だろうから、この機会に仲良くなれたら嬉しいな」
「この私があなたみたいな偽善者に絆されるわけないでしょ──お姉ちゃんまた殴った⁉︎」
美浜ちゃんは頭を押さえ、白葉ちゃんは右手を振っていた。
「だったら一々人に噛み付くな」
「そんな風にすぐ手が出るから浮気なんてされるんだよ」
「はぁ? もういっぺん言ってごらん」
姉妹喧嘩が勃発しそうになった瞬間、空気を変える明るい声が近づいてきた。
「おーい! 来たぞー!」
小夏は私に飛びつくと、そのまま遊園地の入り口を指した。
「時間もったいないからな! 行くぞー!」
「一番遅かったのは誰かしら、小森小夏」
小夏は後ろを振り向くと、美浜ちゃんに向けて手を振った。
「美浜っちも来てたのか! よくクリスマス空いてたな!」
「別に予定が無かったわけじゃないわよ! 小森小夏の面倒をお姉ちゃん一人に見させるわけにもいかないから、わざわざ予定を空けて来てあげたのよ」
「嘘つけ。こなっちゃんがいるって聞いた瞬間、無理やり自分も行くって言い出したくせに」
「知らないわそんな事」
そっぽ向いて声音弱く反論する美浜ちゃんはどこか微笑ましかった。
「本当に小夏の事大好きなんだね」
「美浜っちは小学生の頃からあたしにべったりだったからな〜」
「なっ⁉︎ 違うわよ! ただ小森小夏がお子ちゃますぎて呆れているだけよ。別に好きなんかじゃ……」
白葉ちゃんはやれやれと言いながら、そそくさと園内に入っていき、私達も続くように入っていく。
「小森小夏、そろそろ藍川依吹から離れなさいよ。みっともない」
私の腕に腕を絡ませ、身体をぴったりとつけている小夏の肩を軽く引っ張りながら、美浜ちゃんは苦言を呈している。
「別にいつものことだから問題ないぞ。な、依吹っち」
「そうだね。離れて迷子になっても困るしね」
「だったら藍川依吹でなく私にくっつきなさいよ!」
「いや〜。依吹っちでいいぞ。それに美浜っち、年下じゃないか。引っ張ってもらうのはなんか違うぞ」
なんかすごい、美浜ちゃんの方から私に向けての圧がかかってくる。
「こうなるって分かっててついてきたんだから、我慢しなさい」
「べ、別に嫉妬なんてしてないわよ!」
「はいはい。こなっちゃん、次アトラクション乗る時美浜と乗ってあげて。いぶっちゃんは私と乗ろう」
「おう! 一緒に乗ろうな美浜っち!」
「じゃあ次何乗ろうか」
「そういうことならあれとかいいんじゃないかしら」
美浜ちゃんは観覧車を指し、速攻白葉ちゃんにあれなら四人で乗れるでしょうがとツッコまれていた。
「いいんじゃないかな、観覧車。二人ずつ乗った方がゆとりがあって、色んな方向の景色楽しめそうだし」
「まあいぶっちゃんがそう言うなら」
「じゃあ観覧車行くぞー!」
「ふん。たまには良いこと言うわね藍川依吹」
そうして、私達は観覧車に行き、クリスマス効果でカップルに挟まれて約一時間、二人ずつに分かれて観覧車に乗った。




