最終話(『また、どこかで』)
最終話とかタイトルについてますが、あと1話だけあります
最終話『また、どこかで』
王都の政庁。陽の光がふわりと差し込む高窓の下、成長した王女は、無言でペンを走らせ続けていた。
整然と積まれた書類の山、途切れない決裁の印。
若き王女は、周囲の誰よりも速く、正確で、冷静だった。誰よりも早く手を動かし、誰よりも的確に命を下す。
臣下たちは彼女を「理想の王」と呼び、称賛した。
でも、その背中は、あまりに寂しかった。
午後の短い休憩時間。彼女は机を離れ、部屋の隅に置かれた小さなテーブルへと向かった。そこには、湯気の立つ紅茶と、ひと枝の白百合。
王女は静かにカップを手に取ると、窓の外に目を向けた。
何もない空。誰もいない街並み。
彼女は、かすかに自分の唇を動かした。
「……“無理はしないこと”、か」
誰に向けるでもない独り言。
それは、かつて彼女が言った言葉。
だけど、その言葉が、本当に伝えたかったことだったのか、今でもわからなかった。
あのとき、もっと違う何かを言えていたら。
あのとき、もっと強く、誰かの手を取れていたら。
答えは出ない。出ることはない。
ただ、誰も座らない椅子が、テーブルの向かいにぽつんと置かれている。
今ではもう、そこに紅茶を置くことすらやめた。
――置けば、また、誰かを待ってしまうから。
それでも、彼女はまだ夢を見ている。
もし、もう一度だけ誰かに「ありがとう」と言えるなら。
今度こそ、もう少しだけ――違う答えを渡せたら、と。
カップを置くと、王女は再び、書類の山に向き直った。何ひとつ、表情を崩さないままに。
郊外の訓練場。
夕暮れの薄明かりに染まる広い空の下、剣士は、寡黙な教官としてそこに立っていた。
生徒たちは皆、彼を尊敬していた。
言葉は少ないが、背中で語る指導者。一度の実演だけで、生徒たちの意識が一変する。そんな男だった。
剣を振るう音だけが、静かに広がっていく。
訓練が終わったあと、ひとりの少年が剣を収めず、空を見上げていた。
剣士は、そんな少年に静かに近づき、声をかける。
「……どうした」
「先生、空って……こんなに、綺麗だったんですね」
剣士はふっと、わずかに目を細めた。
その瞳には、遠い記憶が映っていた。
魔法で晴れた、あの夜の空。
小さな肩を震わせながら、杖を振り、雲を散らしたあの子の姿。
ほんの、ささやかな魔法。
でも、あのとき見た空は、何よりも綺麗だった。
だから、剣士は答えた。
「……ああ。昔、教えてくれた人がいた。空は、誰かの魔法で晴れることもある、ってな」
少年は不思議そうに首をかしげたが、剣士はそれ以上何も言わなかった。ただ静かに歩き出す。足元に生えた雑草を踏みしめながら。
そして、訓練場を離れる直前。彼はふと、もう一度だけ、空を見上げた。
そうして、誰にも聞こえないくらい、小さな声で呟く。
「……また、見せてくれるか?」
風がそっと吹いた。
空には、星の瞬きが、微かに現れ始めていた。
かつて旅立った村から少し離れた、小さな診療所。
木造の建物は決して立派ではないが、温かな光が漏れている。
そこに、“元・勇者”の姿があった。
今では、剣を振るうこともなくなった。
戦いではなく、治療と介護で人々を助ける日々。子供たちにせがまれて、冒険の旅の話をすることもある。その時に語られるのは、決まって「世界を救った小さな魔法使い」の話だった。
「剣を持たない勇者」と、冗談交じりに呼ばれることもあった。勇者は、それに笑って答える。
「もう守るもんも減ったしなー」
でも、その笑顔は、どこか空っぽだった。
時折、夜になると、焚き火跡のある丘に向かう。
草の匂いのするその場所で、静かに座る。
懐から取り出すのは、古びた地図。
その端には、小さく震えるような文字でこう記されている。
“10年後、ここでまた”
誰に見せるでもないその記録だけが、彼の時間を支えていた。
「……もう、10年か」
そう呟くとき、勇者の声は、風に乗って消えていった。
まるで、空に向かって問いかけるように。
まるで、まだ届かない誰かに、ささやくように。
――彼女が消えた、あの日。
王女は、震える指先で日記のページをめくっていた。
一枚、また一枚。
そこに記されているのは、魔法の使用回数と、色だけ。感情をにじませる言葉は、ほとんどない。
静かすぎる室内。
勇者も剣士も、ただ黙って、それを見つめていた。
そして――。
ページとページの隙間から、ふいに、ふわり、と、小さなものが滑り落ちた。
王女は、はっとして手を伸ばした。
軽い。紙一枚分の重さ。
でも、まるで、心ごと引き裂かれるような重さがあった。
拾い上げたそれは、長いあいだ大事に隠されていたのだと伝わる、わずかな温もりを残していた。
小さな紙片。
そこに、見覚えのある、丸く柔らかい字で、たった数行だけ、綴られていた。
「私は大丈夫だから。
心配しないでね。
みんな、またね〜!」
無邪気な筆致だった。
笑いながら、何でもないように書き置いた、あの子の声が聞こえてくるようだった。
勇者も、剣士も、覗き込んだまま固まった。誰も、声には出さない。
ただ、その場に、静かな衝撃だけが満ちた。
王女は、言葉にならない呻きを飲み込むように、唇を噛んだ。細い肩が、かすかに震える。
勇者は、机に置かれた自分の拳を、ぎゅっと握りしめた。その指が白くなるまで、必死に震えを堪えていた。
剣士は、顔を伏せ、目を閉じた。感情を押し殺すために、深く息を吐いた。
紙片は、王女の手からするりとこぼれ、机の上にふわりと舞い落ちた。
まるで、風に乗った羽のように。
その小さな文字は、あの子の心そのものだった。
――明るくて、優しくて、無邪気で。
けれど、あまりにも、残酷なほどに強がりだった。
「大丈夫」
「またね」
それが、どれほど“さよなら”に近いものだったか。
どれほど、本当はもう、彼女が引き返せない場所にいたのか。
誰も、否定できなかった。
ただ、沈黙だけがあった。
王女は、そっと目を閉じ、震える手で紙片を拾い直した。
勇者は、見えないものに祈るように、机に顔を伏せた。
剣士は、ただ静かに、誰にも見せない涙をこぼした。
それでも――。
小さな、たったひとつの紙切れが、
あの子が確かに「ここにいた」ということだけは、揺るがない証だった。
そして、誰も何も言わないまま、
静かに、静かに、日記のページが閉じられた。
その音は、まるで、誰かの旅の終わりを告げる鐘のように、耳に痛いほど響いた。
それから、数か月が過ぎたころ。
王都の片隅、ひっそりとした小会議室。
そこに、かつて旅を共にした3人――勇者、剣士、王女――が集められていた。
外は、春の陽射しが差していた。けれど、窓越しの光も、ここではどこか遠く感じられる。3人の顔には、疲労と、割り切れない想いの色が滲んでいた。
王女は、机の上に両手を置き、深く、深く息を吸った。その指先は、かすかに震えていた。
「今日、来てもらったのは……」
彼女はそう切り出し、すぐに言葉を詰まらせた。
誰もが、これから語られる内容を、うすうす察していた。
あの子のこと。
いなくなった、あの小さな魔法使いのこと。
「……探しているのよ、私たちは」
王女は、唇を噛みながら続けた。
「でも、きっと、見つからない。そんな気がしてならないの」
勇者も、剣士も、何も言わなかった。
ただ、うなずくでもなく、静かにその言葉を受け止める。
諦めるための集まりではなかった。
けれど――諦めざるをえない現実も、誰もが分かっていた。
王女は、かすかに笑った。
それは、泣き笑いに似た、どうしようもない微笑みだった。
「私は王城に戻る。あなたたちも、それぞれの道を歩んでいく。……でもね」
言い淀みながらも、王女は真っすぐ2人を見た。
「……10年後、もし、それでも気持ちが変わっていなかったら――」
「また、会いましょう」
沈黙が、部屋に満ちた。
けれど、その沈黙は重くなかった。
勇者は、懐から古びた地図を取り出した。端のほうに、小さく、何かを書き込む。
剣士もまた、無言でうなずいた。
声に出さなくても、十分すぎるほど伝わっていた。
――たとえ、あの子がもう戻らなくても。
――たとえ、会えないまま10年が過ぎても。
それでも、彼女のことを忘れないということだけは、3人で同じだった。
重ねられた手。視線を交わすことなく、ただ、それぞれの胸に誓う。
勇者が、静かに口を開く。
「そのときに、もう一度……“あの子”の話をしよう。ちゃんと、笑って」
誰も、口には出さなかったが――
“あの子が、もし戻ってこなかったら”という条件が、その場に漂っていた。だが、それでも。
時を経てもなお、忘れられない彼女の声。名前も、姿も、笑い声も、消えずに残っている。それぞれが、それぞれの形で、もう一度だけ、“ありがとう”を言える日を――信じていた。
あれから、10年。
勇者は、地図を片手に、ある、小さな村を訪れた。
“10年後、ここでまた”
その場所は、かつて――彼らが、平穏を手にした場所だった。
今は、もう誰も住んでいない。
廃業した温泉宿。ひび割れた石畳。朽ちかけた看板が、風に軋んで揺れている。
湯煙も、旅人の笑い声も、すでにない。
残されているのは、色あせた建物と、どこか懐かしい草の匂いだけだった。廃業した温泉宿の裏手に、小さな庭があった。板張りの縁台と、風に揺れる笹の葉と、今はもう湯気も立たない小さな石造りの湯舟。
かつては賑わっていたのかもしれないが、今はもう、草が足元を撫でるだけ。門構えの看板も外されて久しく、宿の名前すら忘れられているようだった。
勇者はその縁台に、ゆっくりと腰を下ろした。
懐から取り出した古びた地図を、丁寧に広げる。端のほう、茶色く日焼けしたその隅に、かすれかけた文字で記されている。
“10年後、ここでまた”
あの日、三人だけで交わした、静かな約束。
探し続けて、それでも見つからなかったあの子の不在を、それでも忘れられなかった三人の思いが、ただ一度だけ交差した夜があった。
「……あの日から、明日で……もう、10年か」
誰に言うわけでもない声が、静かな風に流れていく。
小さな庭。
板張りの縁台と、草に埋もれかけた石造りの湯舟。
――かつて、魔法使いの少女がタオルを頭に巻いてぴょんと跳ねていた、あの場所。
勇者は、ゆっくりと縁台に腰を下ろした。もう、誰も覚えていないかもしれない。
この場所の名も、湯の香りも、声の高さも。
けれど、忘れない者がいる。変われなかった者たちが、またここに集う。
風が、草を揺らした。
勇者は黙ったまま、縁台に座り続けた。風が強く吹き抜けて、庭の草をざわりと揺らす。
その一瞬……。
ふいに、誰かがこちらに向かって手を振ったような気がした。
でも、目をこらしても、何も見えなかった。
「……気のせいか」
勇者は、わずかに笑みを浮かべ、思わずそちらに伸ばした手をそっと、下ろした。
そして、夜が、静かに降りてくる。
――同時刻。
誰もいない、広く、なだらかな丘。広がる草原は黄金色に染まり、風が静かに吹いていた。
遠くに鳥の声はなく、木々もなく、ただ草と、空と、風だけ。
丘の頂に、小さな人影がひとつ。
それは、ひとりの少女の姿だった。細い腕、風に揺れる服の裾。光に透けるような柔らかな髪。
顔は、見えなかった。
夕陽を背にして、こちらに背を向けたまま、ただ、静かに立っている。
広すぎる空の下。
何もない世界で。
彼女だけが、そこにいた。
風が草を撫で、彼女の髪をそっと持ち上げた。
その細い肩が、小さく震えたように見えた。
そして――。
少女は、ゆっくりと片手を上げた。
振り返らず、何も言わず。背中を見せたまま、ただ、そっと、手を振る。
それは、まるで――。
「またね」と、言っているかのような、あるいは、「ありがとう」と、言っているかのような。
言葉にはならない。
けれど、確かに伝わる仕草だった。
手を振り終えると、少女はそっと手を下ろした。
そして、もう一度だけ、遠くを見つめた。
沈んでいく太陽。
黄金色に燃える空。
世界が、音もなく、ゆっくりと夜に向かっていく。
次の瞬間――
ふっと、彼女の姿はかき消えた。
風に溶けるように。
夕陽に溶けるように。
そこには、もう誰もいなかった。
ただ、草が揺れている。
風が通り抜けていく。
そして、あの背中が確かに「ここにいた」ことだけが、世界にそっと、残される。
画面が、ゆっくりとフェードアウトしていく。
誰もいない草原。
空に、ただ、青い残光が一筋だけ流れていった。
黒背景に流れていくスタッフロール。
これまでの旅の風景が静かに映し出されたあと――。
カットがゆっくり切り替わる。
そこは、暗い森の中。
木々の間から月明かりがわずかに差し込んでいる。
虫の声が遠くに響いて、風が枝葉を揺らす。
場面の中央には、消えかけた焚き火の跡。
その横に置かれた、小さな木のテーブル。
そして――。
そのテーブルの上に、ひとつだけ、カップが残されている。
彼女がいつも使っていた、小さな紅茶用のカップ。
湯気はもうない。
誰の姿もない。
でも、ほんの少し前までそこに“誰かがいた”気配だけが残っている。
焚火の灰が、夜風にさらさらと舞う。
画面には、誰も映らない。
けれど、世界がそっと言っているように思える――。
「あの子は、確かにここにいた」と。
映像が、月を仰ぐようにゆっくりと上を向いていく。
そして、青い残光が森の上空を一筋、静かに流れる。
言葉もなく、音楽もなく、ただ、夜の静寂と光だけがそこにあった。
そして、画面は、深い闇へと、ゆっくりと、溶けていく――。
【END】
* * * * * * * * * * * *
【逃げる魔法使い】第10話実況スレ【また、どこかで】
1:風の名無しさん
あと1時間で最終話が開始か……
4:風の名無しさん
ここからハッピーエンドになると信じてるぞ?
なんやかんやで魔法使いちゃんが戻ってきて!
どうにかして、なくなった寿命も戻って!
みんなで幸せに暮らすんだ
そうに決まってるんだ俺は詳しいんだ
5:風の名無しさん
肝心の部分が全て曖昧なんですがそれは
25:風の名無しさん
始まった!
王女様、ちゃんと“国の顔”になってるのに
なんでこんなに寂しそうに見えるんだろう……
35:風の名無しさん
あの政庁、すごく綺麗なのに、空気が冷たい
あの子がいた頃の“ぽかぽか”がない
42:風の名無しさん
紅茶と白百合だけが“残してる”感じがして刺さる
51:風の名無しさん
「無理はしないこと、か」って
あの時の自分をずっと反芻してるの、つらすぎる
57:風の名無しさん
その言葉、たぶん彼女に届いてなかったって、分かってるんだよな
61:風の名無しさん
それでも、紅茶を置かないことで、前に進もうとしてるのが苦しい
進んでないのに、置いていくしかなかったんだって感じる
75:風の名無しさん
向かいの席、空っぽのままなのが涙出た
81:風の名無しさん
書類に戻るときの顔、あまりにも“仮面”だった
89:風の名無しさん
「また誰かにありがとうを言えるなら……」
それって、まだ言えてない人がいるってことなんだよ
100:風の名無しさん
王女様、ずっと“言葉を飲み込んだまま”大人になってた
108:風の名無しさん
教官になってる剣士、無口すぎるけど信頼されてるの分かるのずるい
117:風の名無しさん
剣士教官になっとるwww……とか言いたいけど言えない
125:風の名無しさん
「空って、いつもこんなに綺麗なんですか?」
この台詞、まさか生徒から出るとは思わなかった
141:風の名無しさん
「昔、教えてくれた人がいたんだ」
150:風の名無しさん
たった一言で“全部”わかった
あの子がいたってこと、消えてないんだってわかる台詞だった
162:風の名無しさん
空を魔法で晴らした、あの一夜のこと、剣士は一生忘れないんだろうな……
172:風の名無しさん
名前を出さないのがまたズルい
178:風の名無しさん
立ち去るとき、空見上げて「また……見せてくれるか?」って
もうあれ、祈りだったよ
184:風の名無しさん
言葉じゃなくて、“願い”になってるのが剣士らしすぎて痛い
189:風の名無しさん
足音が遠ざかるだけのシーンなのに、静かに心を削ってくる
199:風の名無しさん
診療所の勇者、雰囲気があまりにも違って
でも目だけそのままだった……
207:風の名無しさん
誰より優しいのに、どこかずっと遠くにいるような雰囲気でさ
223:風の名無しさん
「守るもんも減ったしな〜」
軽口っぽいのに、空っぽすぎて刺さる
237:風の名無しさん
あの子の話を“魔法使いの話”って言ってたの、もう過去形だったのがきつい
でもそれは、ずっとそばにいた人だけができる語り方なんだよ
最初から一緒にいた、勇者だけにしかできない話なんだよ
245:風の名無しさん
“あの日から、十年目の朝”
255:風の名無しさん
地図の文字で泣いた
誰にも見せてない記録、それが一番重い
264:風の名無しさん
古びた地図を取り出すシーンで、もう涙腺限界だった
276:風の名無しさん
端っこに小さく書かれた文字が、世界で一番重く見えた
「十年後、ここでまた」
288:風の名無しさん
この場所さあああああああ!
温泉回の!
魔法使いちゃんが! ぴょんってやった温泉宿じゃん!
310:風の名無しさん
温泉、ほんとに廃れてた
笑い声も湯気もない、あの場所の空気が、こんなに冷たいなんて
325:風の名無しさん
10年で誰もいなくなるって何⁉
残っててほしかったよ!
340:風の名無しさん
あの縁台、まだあってよかった
でも誰もいない
363:風の名無しさん
“ぴょん”の記憶だけがここにある
378:風の名無しさん
「でも今日だけは」って希望が、優しさじゃなくて、諦めと疲れに聞こえた
392:風の名無しさん
あの子の記憶を信じてるのに、来ないって分かってるの、残酷だった
408:風の名無しさん
風が吹いたとき「誰かが手を振った気がした」
全視聴者がその瞬間に“見えた気がした”と思ってる
423:風の名無しさん
見間違いじゃない、でも誰もいない
“気のせいか”で片付けるしかないのがつらすぎる
438:風の名無しさん
笑った顔が、もう“旅の勇者”じゃなくて
“日々を越えてきた人”の顔だった
452:風の名無しさん
あれ? ここどこ? 草原? 温泉宿の跡地じゃなくない???
466:風の名無しさん
あ……!
472:風の名無しさん
魔法使いちゃん!!
479:風の名無しさん
魔法使いちゃんじゃん!!!
487:風の名無しさん
シルエットが魔法使いちゃんだって全員知ってるから!!!!!
生きてる!
499:風の名無しさん
顔が見えないのに、誰なのか分かる
でも、“どうしてそこにいるのか”が分からないのが怖い
521:風の名無しさん
髪が光に透けてる演出、異様に綺麗だった
もう現実じゃないようにすら感じる
546:風の名無しさん
手をそっと振っただけ
それだけなのに、“物語のすべてが終わった”気がした
586:風の名無しさん
何も言わなかったのがよかった
“さよなら”って聞こえたけど
“またね”だったかもしれないって残るのが、永遠になる
612:風の名無しさん
「またねっ」って言ってるじゃん!!!!!!
聞こえたじゃん!!!!!!
聞こえたってば!!!!!!
633:風の名無しさん
振り返らない、それが彼女の優しさであり、決別でもあるって思った
647:風の名無しさん
自分のなかでは「ありがとう」って言ってたように感じた
いや、「気づかれたくない」って言ってたようにも感じた
677:風の名無しさん
あの子は、最後まで“誰のものにもならなかった”んだな……
698:風の名無しさん
風が吹いて、草が揺れて、光が差して――
その中に、小さな人影だけがいた
世界に一人だけ、まだ立っている
712:風の名無しさん
それでも勇者だけは! 勇者だけは魔法使いちゃんを迎えに行って!!!(絶叫)
731:風の名無しさん
そしてエンディング……
通常じゃないピアノアレンジきた……
全部の旅の風景が流れてくる
756:風の名無しさん
1話のあの旅立ちも
2話の王都も
3話の温泉も
5話の王城も
全部
ぜんぶ
ぜんぶ流れてくる
790:風の名無しさん
いつものEDはパーティーの4人が焚火を囲んで楽しく談笑してるシーンだったじゃん……
紅茶を飲んだり、お菓子を分け合ったり、王女が文句を言いつつも笑っていたり
剣士が火の薪を黙々と足して、魔法使いちゃんが「ありがと〜」って笑って見てて
なんでこんな静かなの? なんで誰もいないの?
825:風の名無しさん
焚火、もうない
灰だけ残ってる
“燃え尽きた”ってこういうことか……
856:風の名無しさん
テーブルに一つだけ残された紅茶カップ
あれってさ、勇者とお揃いで買ってたやつだよね???
876:風の名無しさん
あの子のものって、分かるのに、誰も触れられない
888:風の名無しさん
カップ、ちっちゃくて、可愛かったなって思い出させるのやめろ
912:風の名無しさん
湯気が出てないのがほんとにつらい
もう誰も温めてくれないってことじゃん……
941:風の名無しさん
4人の旅が終わったんだな……
972:風の名無しさん
カメラが月を仰いで、青い光が流れたとき
魔法じゃないって分かってるのに、“魔法”って思いたくなった
979:風の名無しさん
「確かにここにいた」
それだけで、人は物語になるって思った
983:風の名無しさん
さようなら、魔法使いちゃん
ありがとう
987:風の名無しさん
ありがとう
そして、おつかれさま
991:風の名無しさん
……でも、結局、俺らが見てたのってさ
魔王を倒す旅だけで、あの世界のほんの一部なんだよな……
998:風の名無しさん
ん? どういうこと?
999:風の名無しさん
だからあの後も、あの世界で、話は続いていくんだよ……誰にも知られないまま
きっとそこで魔法使いちゃんは仲間と再会するし幸せに暮らすんだ
俺は詳しいんだ
【逃げた魔法使い】いなくなった誰かを思い出すスレ
1:風の名無しさん
このスレは、名前の出なかったあの子のことを思い出す場所です
4:風の名無しさん
火を起こすの、得意だったよね
小枝を集めて、すぐに焚火にしてくれてた
パンも焼いてくれたね
9:風の名無しさん
パンを焼くとき、焦がしちゃって笑ってたな
「こんがり〜」とか言ってたくせに、表面だけ焦げて中は生だった
15:風の名無しさん
あの子の声、覚えてるはずなのに、もう思い出そうとすると少し滲む
22:風の名無しさん
どこかで生きてるって、信じたい
でも、戻ってこないのも分かってる
31:風の名無しさん
きっとあの子は、「ありがとう」とか「ごめんね」とか、
そんな言葉すら要らないって思ってたんだろうな
38:風の名無しさん
手を振った最後のシーン、夢の中みたいだった
47:風の名無しさん
本当は、何歳だったんだろうね
53:風の名無しさん
最後まで笑ってたね
それが一番つらいんだよ
61:風の名無しさん
いなくなってから、焚火の匂いが少し苦手になった
70:風の名無しさん
声が優しすぎた
何もかも包み込むみたいな喋り方だった
84:風の名無しさん
もういないんだって分かってるのに、
どこかで、まだ手を振ってくれてる気がする
【推しカプ地獄スレ】魔法使いちゃん推し、今日も昇天【解釈違いと感情爆発】
2:風の名無しさん
勇者×魔法使いちゃん派、今日も生きてるだけでえらい
勇者が「ありがとうが言えなかった」って呟いたの、あれ絶対……
9:風の名無しさん
剣士×魔法使いちゃん派は、空見上げるシーンで致命傷なんだよ
「また見せてくれるか?」って呟いたの、ただの片思いなのに尊すぎて泣いた
17:風の名無しさん
王女×魔法使いちゃん派、白百合のくだりで即死
花言葉調べたら「純白」「尊厳」「永遠の別れ」って出てきて、私の心も死んだ
22:風の名無しさん
推しカプそれぞれが「一番想ってた」って信じてたのに、
何も届いてなかったっていう事実、地獄すぎる
28:風の名無しさん
それでも、「好きだった」「大切だった」って気持ちは
全部、本物だったんだよな
33:風の名無しさん
魔法使いちゃんがそれを受け取らなかったとしても
それでも、絶対に嘘じゃなかった
41:風の名無しさん
勇者も、王女も、剣士も
ちゃんと、あの子を大事に思ってたんだ
47:風の名無しさん
でも、あの子自身は
最初から「届かない」場所に立ってたんだと思う
52:風の名無しさん
誰かに愛されるためじゃなくて、
誰かを助けるためだけに存在してた
59:風の名無しさん
「ありがとう」も「好き」も、
最初から受け取る気がなかった
64:風の名無しさん
最終話のあの手のひら
あれ、誰かに向かって振ったんじゃない
「ここまでだよ〜」って
自分で自分に、手を振ったんだ
77:風の名無しさん
誰のものにもならず
誰の物語にも入らず
ただ、風にまぎれていった
85:風の名無しさん
だからこそ
あんなにあたたかかったんだ
92:風の名無しさん
でも!!!!
それでも!!!!
私は勇×魔を諦めない!!!!!!(泣)
98:風の名無しさん
勇者が最後、誰に届くかも分からないまま手を伸ばしたあの瞬間、
絶対に、魔法使いちゃんは気づいてたって信じてるから!!!
104:風の名無しさん
絶対に!!!!
あの手は、無駄じゃなかったって信じてる!!!!!!
111:風の名無しさん
だから私は
この子を好きになってよかったって思う
117:風の名無しさん
だって
あの笑顔だけは、絶対に嘘じゃなかったから