おまけ⑤(前半振り返り特番~魔王戦終了まで)
【前半振り返り特番】
『優しさに包まれて ~魔法使いの少女を中心に振り返る旅~』
「“優しさに包まれるような世界観”――そんな言葉とともに旅は始まりました」
(1話:村での朝、旅立ち、勇者と笑い合う少女)
「とある村で、朝ごはんを食べて、出発の準備をして。
今日も空は青く、勇者との旅が始まります。
最初の一歩を踏み出す時、彼女はとても嬉しそうでした」
(2話:王都の筆記試験、「2点」、王女の絶句)
「王都では、ちょっとした試練もありました。
筆記試験は少しだけ難しく、
それでも彼女は――ニコニコ笑っていました」
(3話:温泉回、“ぴょん”)
「温泉では耳のようなタオルをつけ、跳ねてみせました。
ぴょん、と。
それだけで、仲間の距離は少し近づいたようでした」
(4話:夕食を作る少女、空気が和らぐ)
「時には、言い合いになる日もあります。
でも、ご飯を作って、“できましたよ〜”と言う声があれば
大抵のことは解決します」
(5話:王城攻防戦。赤く光る杖、街一周の結界)
「城が包囲されても、大丈夫です。
杖の色は時々変わりますが、魔法はきちんと出ます。
少し赤かったりもしますが、問題はありません」
「先生らしき人物が、何かを指摘していました。
少女は笑っていました。
“バレちゃいましたか〜”と」
「だいじょうぶだと、彼女は言います。
ならきっと、だいじょうぶなのでしょう」
「“力なき彼女の物語”
そう紹介された旅の途中で、
彼女は少しずつ、誰かの背中を支えていたようです」
(背景:4人の仲間が並ぶ焚き火のシーン。魔法使いの少女だけが遠くを見ている)
「――世界のどこかにある、誰かの“夢”のようなお話」
『逃げる魔法使い』第6話「魔王城突入前夜」、まもなく放送です。
【逃げる魔法使い】前半振り返り特番 実況スレ【再放送】
1:風の名無しさん
明るいBGMで始まった瞬間、胃が痛くなったんですが???
5:風の名無しさん
「この旅は、出会いと癒しに満ちていました」って言ったな今な⁉
13:風の名無しさん
ぴょん入れるなぁぁぁぁあ!!!
22:風の名無しさん
つら……配膳してただけなのに、寿命減ってたなんて……
29:風の名無しさん
「おかわりありますよ〜(寿命)」
41:風の名無しさん
王女様との距離が縮まるシーン、微笑ましいはずなのに
今見ると死に支度にしか見えないのやめてくれ
55:風の名無しさん
笑顔が死へのカウントダウンなの
前半振り返りで思い出させるなよ……
68:風の名無しさん
おいちょっと前まで「寿命」なんて単語このアニメになかったよな
なんで今もうなじ辺りまできてんの??
81:風の名無しさん
公式が「優しさに包まれるような世界観」って改めて出してきてむせた
95:風の名無しさん
「大丈夫です〜」の使い方一覧出すのやめてください公式
どれも大丈夫じゃなかっただろ!
106:風の名無しさん
王都防衛のシーン、杖が赤に変わった瞬間スローになって
テレビ壊すかと思った
121:風の名無しさん
「なら、きっと大丈夫なのでしょう」
あっ公式煽ってきたわこれ
136:風の名無しさん
この5話、本当に癒し旅だったか????
153:風の名無しさん
「あの子の笑顔が仲間をつなぎました」って言ったナレーション
ちょっと控えていただけませんか、泣くので
174:風の名無しさん
癒しの旅(寿命捨てながら)
187:風の名無しさん
カラっとした旅感出してきて逆に湿度が高すぎる
201:風の名無しさん
あんなに可愛かった「ぴょん」が今では呪いの言葉……
220:風の名無しさん
魔法使いちゃんに「ありがとう」って言った王女の顔が抜かれた瞬間、涙腺終了しました
237:風の名無しさん
「今もきっと、彼女はどこかで笑っているでしょう」
ナレーション、お前のそのセリフが怖い
251:風の名無しさん
「大丈夫だと、彼女は言いました。なら、きっと大丈夫なのでしょう」
ナレが流れて、俺の心が死んだ
278:風の名無しさん
「大丈夫だと、彼女は言います。だからきっと、大丈夫なんでしょう」
この一文で地面えぐれたんだが???
295:風の名無しさん
公式サイトの「誰かの夢のようなお話」って文、今になって効いてくるのやばくない?
306:風の名無しさん
悪夢でしたね……
328:風の名無しさん
「今後の展開もお楽しみに!」って言われた瞬間
誰かがスレに『遺言かな?』って書いててダメだった
――次週、魔王城突入前夜。
焚き火を囲む四人の姿を、誰もが知っていた。
再放送とはいえ、あの穏やかな夜がまた訪れることに、どこかほっとする気持ちもあった。
だが、次回予告に変化があったことにより古参勢は今後の展開に不安を覚えており、前話のCパートが明かしてしまった事実を知ってしまった初見勢は――もう以前のようには、あの焚き火を見られなくなっていた。
スレは、静かだった。
魔王の居城は、異形の塔のように空を裂いてそびえ立っていた。灰色の雲が渦を巻き、地鳴りとともに魔物たちの咆哮が響き渡る。勇者たちは最後の戦いに挑むべく、剣を抜き、防御の魔法陣を踏み越えた。
その背後にいた魔法使いの少女は、杖を小さく握りなおし、ふわりと笑った。「がんばりましょうね〜」と、いつもの調子だった。だがその直後、杖の先がじわりと黄色に光りはじめ、敵軍の突進が始まると同時に、それは青へ、そして赤へと変わった。
城門をなぎ払ったのは、彼女が放った赤い魔法だった。一撃で、塔の半分が砕け落ちた。仲間たちの戦いを補佐するはずだったその光は、もはや主戦力そのものだった。
空を飛ぶ魔獣をまとめて焼き払ったとき、仲間から思わず歓声が上がった。だが彼女は無邪気に手を振って、「やった〜!」と笑うだけだった。まるで、命を削っていることなど忘れているかのように。
青い閃光が走るたび、壁を守る結界が張られ、倒れた仲間を癒す黄色の光が周囲に滲んだ。誰も気づかなかった。彼女の笑顔の裏に、何十年もの寿命が積み重なっていることに。
魔王の間は、静かだった。音のない深淵のように、広く、冷たい。
踏み出すたび、床に残るのは自分たちの足音だけ。装飾も、衛兵も、敵影すらない。
「来るぞ……!」
剣士が短く呟いたその瞬間、黒い風が吹いた。
玉座の影から、ゆっくりと魔王が立ち上がる。瘴気が霧のように広がり、視界を蝕んでいく。
仲間たちは即座に陣形を取る。剣士が前衛、王女が魔法障壁を張り、勇者が剣を構える。
魔法使いの少女は――後ろで杖を両手に握り、少しだけ笑った。
「じゃあ、みんな。がんばってくださいね~」
その言葉と共に、光が走る。回復、補助、浮遊、視界確保、そして範囲防御――黄色い魔法が戦場を支配する。魔王が放つ瘴気を王女が防ぎ、剣士が突撃し、勇者が魔王の正面に立つ。
「お前か……我が力を侵すものは」
魔王の一撃が空間を裂き、王女の防壁が軋む。だが、壊れない。
その背後から、少女の支援魔法が走る。手の平から広がる青い魔法陣が、王女を包み込む。
実況スレに誰かが即座に書き込む。
「お前が削るたびに俺の寿命も削れてるんだが???」
「杖が!!!赤い!!!!ずっと赤い!!!!
やめて!!!命が!!!軽い!!!!!!」
赤い閃光が走る。空間ごと、魔王の瘴気が切り取られ、戦場が浄化される。
「だいじょうぶです~。あとちょっと、ですから……!」
剣士の一閃、王女の封印術、勇者の渾身の一撃。
すべてが重なったとき、魔王が膝をついた。
「なぜ……貴様らが……我を超える……貴様、その力……なぜそこまでできるんだ……!」
魔法使いちゃんが、にこりと笑った。
「だって、友達ですから~」
最後の魔法は、静かに、やさしく、魔王を包み込むように放たれた。
光の粒が舞い、魔王は崩れ落ちるように消滅する。
「勝った!! 俺たち、やったぞ!!!」
勇者が叫ぶ。王女が歓声を上げ、剣士が無言で剣を納めた。光の粒が降り、空気が少しだけあたたかい。
魔法使いちゃんが「終わりましたね〜」とふわっと笑った、その瞬間だった。
「おまえのおかげだーっ!!」
勇者がその小さな体を思わず抱き上げ、くるくると回る。
「えっ⁉ え、ちょっと⁉ 回ってる〜〜〜⁉」
腕の中でわたわたと手足をばたつかせながらも、魔法使いちゃんは、きゃっきゃと笑っていた。
その日、誰もが幸せを疑わなかった。
――彼女が、どれほどのものを代わりに失っていたのか、知ることもなく。
798:風の名無しさん
勇×魔過激派、解釈一致の供給で昇天後
魔法使いちゃんの寿命の件で死亡確認




