開幕前
自身が理想とした、差別も汚職もない民のための国を目指した男がいた。
無色透明な、未だ誰も見たことがない国家に望みを託した者たちがいた。
新たな国を内包し、新たな国民を収容し、軍需物資が堆積する移動城塞があった。
正しさのために声を上げれば、多くの人が後に続き、最終的に正しさが為されると信じた男がいた。
友に巻き込まれ、無垢な理想を聞かされ、彼の夢はかなわないと断じた捻くれ者がいた。
虐げられ、隷属させられている民族の誇りを取り戻そうと、拳を掲げた異民族の族長がいた。
族長の掲げた拳に集う、百年たっても国民として認められなかった民族たちがいた。
辺境から首都に続く防衛線の最前線に駐屯する巨躯の県長がいた。
巨躯の県長の元、武技と美貌に秀でた女戦士がいた。
貧しい暮らしから必死に成り上がり、辺境に派遣され必死に職務をこなす経験の浅い若き太守がいた。
異民族や反乱の侵攻に備え、常日頃から危機意識を絶やさずに保ち続けてきた防衛線を構築する者たちがいた。
結婚を控えているのに辺境の戦に駆り出され、死亡フラグに頭を抱える天才がいた。
鍛え上げてきた精兵の結実を確認するためにちょうどいい機会だと、反乱を有効に使おうとする辺境の将がいた。
様々な派閥や思想、立ち位置や身分によって複雑化され、国土を、国民を、守り切れなくなってきている者たちがいた。
国に害をなす官吏がいた。
国を守ろうと声を上げる賊がいた。
真に国を憂うのは誰なのか。
暗に国を害すのは誰なのか。
中央で起きた大宴会の余波は未だ冷めやらず。
西方で巻き起こる大戦の前哨戦。
今幕は一巻だけの局地戦。
ほんのひと匙の、そして一生続く反抗の第一幕。
中央の乱痴気騒ぎに乗り遅れた者たちが壇上に上がって踊り狂う狂乱劇。
さあささあさ皆々様。
舞台を変えての口直し。
長い座組の合間の幕間小咄。
気を緩め、どうぞゆるりとご観覧ください。
演目を観劇中の皆さまにおかれましては、遠慮会釈なく、賞賛や叱責など思い思いの感想をお叫びくださいますよう、謹んでお願いいたします。
それでは、新説三国志演義。シーズン2。本伝。―――開幕。
というわけで、始めます、第二集。
本編は3月30日更新予定です!




