眩しすぎるあなた
初めて会ったあなたは思ったより小さくて、
でも、声は聴いていたそのままで、その笑い声を聴いて僕は恋に落ちたんだ。
12月。
年の瀬で浮つく中、僕は寒さのせいか少しセンチメンタルになる。
ちょっと寂しいような。
でも、僕はそんな冬が好きだ。
今思えば、少し人恋しかったのかもしれない。
何年か前にハマっていた配信アプリを久しぶりに開いた。
何で開こうと思ったのかはわからない。
僕は女性の声があまり得意ではない。
だが、何となく目にとまった配信に入った。
あなたは少年のような声で豪快に笑う、最初はシンプルに面白い人だと思った。
もしかしたら、プロフィールをみて自分と同じなのではと思ったからかもしれない。
あなたは内向的な僕とは違い、交友関係も広く、黙りがちな僕を引っ張り出してくれた。
ある日、あなたの配信に行くと、僕だけになってしまった。
少し真面目な、突っ込んだ話題を出してしまった。
普段はおちゃらけている印象だが、真面目な話をするときはちゃんとしている人なのだと思った。
後々、聞きすぎてしまったのではと後悔したが、それがきっかけなのかはわからないが、より仲良くなった。
少し経つと、仲の良いグループができた。
飲みに行きたいね~という話題になった。
このメンバーで行ったら絶対に面白いだろうなと思った。
次の週末、会うことになった。
まさか。
自他共に認める内向的な僕が、リアルで会うことになるとは思わなかった。
でも不思議と、不安は感じなかった。
当日。
来てしまった。
本当は騙されていて、待ち合わせ場所にはいないのではないか。
そんな考えが頭を過る。
いた。
別のメンバーだ。
やはり見た目では判別できなかったようで、あなたと僕を見間違えた。
もう少しで来るようだ。探してみる。
歩き方から、こんな感じに現れるのではないかと勝手に想像したりしていた。
あなたが来た。
一瞬で分かった。
声の通り、想像通りの歩き方。
ただ、唯一違ったのは、かなり低身長で小柄だった。
そのギャップのせいか、インパクトのせいか、不意に思ってしまったんだ。
可愛い、と。
その一日はとても楽しかった。
別れてしまうのが寂しいくらいに。
楽しい時間はあっという間で、次の日はいつも通り来る。
時間が合わず、配信にはたまにしか行けない。
ネットの友達というより、リアルの友達ほど距離が近づいた今では、配信に行けなくても寂しいとは思わなかった。
休みの日。
久しぶりに声を聴くと、あなたの声がこんなにも安心することに驚いた。
あなたは、下ネタも気にしない。なんなら、自分でぶっこむほどだ。
ふとぶっこまれた下ネタに違和感を感じた。
僕は男らしくて尊敬できる人が好きだ。
僕は気づいてしまった。
あなたをベッドに押し倒す妄想。どんな声なんだろうか。
そんなことが頭を過る。
呼吸は浅くなり、何も考えられなくなる。
こんなことを考えてしまう自分が嫌になる。
まさか女性を好きになるなんて。
そんなはずはないと無理やり考えを打ち消す。
次会ったらどうなるのだろう。どうなってしまうのだろう。
いや、どうにもならない。どうにもなれない。
打ち明ける度胸なんて自分にはないのだから。
ただあなたの傍にいれたら、あなたの笑顔を見ていられたら…
あなたはわがままで人の話を聞かないという。
確かに、人の話は聞かないと思う。
でも、誰にでも分け隔てなく接し、気配りができて、
女性といえど芯の通った男気のようなものを持ち合わせる。
そんな僕とは正反対のところに惹かれた。
お読みいただきありがとうございます。
いろいろとわかりにくいところ、胸糞エンド等、あるとはございます。
ですが、感謝しかありません。今回は誠にありがとうございました。