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エイムの魔法植物学  作者: izumo_3D
ー守護英雄の村編ー
8/45

シラセの魔法

エイムの問いに、シラセは昔のことを思い返していた。


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それは、シラセが5歳ほどの時だった。

シラセは両親が繰り返し話してくれる守護英雄の昔話が大好きで、いつの間にか自分もそうなりたいと、強く憧れるようになっていた。

そのこともあってか、ある日シラセに魔法が発現した。

そしてその魔法は、守護英雄と同じもの「マナの具現化」だった。


シラセは飛び上がって喜び、村の人々にそれを言って回るほどだった。

両親も、シラセの守護英雄への強い憧れを知っていたので、この魔法の発現は大いに喜ばしいことだと思っていた。

後にこれがシラセを深く苦しめることになるとは、この時は知る由もなかった。



シラセは魔法が発現してからというもの、一層その憧れは強まり、魔法と武術の鍛錬に時間を費やした。

守護英雄は敵の特性や状況に合わせてあらゆる武具・防具を作り出すことができ、そしてそれを使いこなす戦いの才覚があった。

シラセも、そんな風に戦いたいと強く思っていたのだ。


しかし、シラセは徐々に気づき始める。


「…魔法を持続できない…!」


この魔法は、具現化したものの形状を保つため、常にマナが消費されるようだった。

戦闘が長時間になるほど、当然マナの消費量は増える。

武具や防具を頻繁に作り出すとなると、なおさらだった。

守護英雄は、これに耐えうるだけの圧倒的なマナの量を備えていた。

しかし、シラセは違った。


先天的に、マナの量が足りていなかったのだ。

いや、この時代は魔法を使えるものがほとんどおらず、そもそもマナの量など誰も気にして生きていない。

おそらく、シラセが特別にマナの量が少ないというわけではなく、むしろ常人並みだったのだろう。


そう、守護英雄が、圧倒的だったのだ。

多くの魔獣を討伐し、人類に平穏をもたらした守護英雄。

その伝説の偉人の力が、常人並みであるはずがなかった。

遥か遥か高みにある、まるで手を伸ばしても絶対に届かない星の光のようだった。

そして、シラセはいくらマナを増やそうと努力しても、それは大して変わらなかった。


シラセは、自身の才覚の無さに、その守護英雄との大きな隔たりに、打ちひしがれた。


「こんなことなら、魔法なんて発現しなければよかった…!」


大きな希望を得たにも関わらず、それが「絶対に届かない」という絶望に裏返った者の心境は、想像に難くない。



しかし、シラセはそれでも、守護英雄への憧れを捨て切れなかった。

自分は、魔法を長時間具現化できない。

それを自覚したうえで、この魔法を生かす方法を考えてたどり着いたのが、『矢』だった。

矢であれば、放つ際に具現化し、敵に命中した後に魔法を解けば、マナの消費は最小限に抑えられる。

また、『弓』は本物を使うことにした。

弓まで魔法で具現化すると、その維持にマナを消費してしまうからだ。


こうしてシラセは、弓矢の鍛錬に励んだ。

その甲斐あって、シラセは村一番の使い手となり、獲物の狩りはお手の物だった。


だが、シラセは感じていた。

「弓矢ができても、とても守護英雄様のようには戦えない…

 俺の夢は、絶対にかなわない…」


そう、シラセも心のどこかでは、すでに諦めを感じていたのだ。

だが、それをどうしても感情が受け入れられない。

だから意固地なほど、守護英雄への憧れを口にするのだった。


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シラセは思い返し、そしてエイムにはこのことを正直に打ち明けることにした。


エイムは、神妙な面持ちで、シラセの話を聞いていた。

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