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エイムの魔法植物学  作者: izumo_3D
ー誘惑の森編ー
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覚悟の先へ

アシュクラには、小人たちが大事そうに抱えている葉が何なのか、はっきりとは分からなかった。

だが、森に足を踏み入れてから、その存在は確かに認識していた。


音を立てる、不思議な葉。

風でも、獣の音でもない。葉が揺れるだけで、不思議な音を奏でる植物。


(……この森に群生している、“音を出す”植物の葉か)

(音を使って、何か仕掛けるつもりか……?)

(セイレーンちゃんたちの歌を、音で相殺する……とか?)


だが、すぐに首を傾げる。

そんな付け焼き刃の対処で、どうにかなる相手ではないはずだ。


その瞬間だった。


シラセが、ぎゅっと歯を噛み締めた表情で前を見据え――叫んだ。


「エイム!! 耳をふさげ!!」


やはり来る。

音だ。

そう確信する。


―――でもさあ……


軽薄な声が、場違いなほど明るく響く。


「あっははは! それ、僕に聞かれたらダメじゃん!?」


瞬間、エイムとアシュクラは反射的に耳を塞いだ。


「エイムちゃんを犠牲にしたくなかったんだろうけどさあ……

奥の手なら、僕に気取られちゃだめでしょおおお!?

アッハハハハハァ!!馬鹿だねえほんとに!!!」


両耳を強く押さえつけるシラセには、アシュクラの言葉は届いていない。

だが――その歪んだ笑み、その口元。

自分を嘲り笑っているのは、嫌というほど伝わってくる。


「……別に、これでお前をどうこうしたいわけじゃねえよ……」


低く、吐き捨てるように呟く。


「俺がこれで攻撃するのは……

俺自身だッ!!!!」


その瞬間。

シラセの手が、両耳から離れた。


セイレーンの歌が、直接鼓膜を打つその合間。

魔性の旋律が、思考を侵し、理性を溶かす寸前。


その一瞬に、シラセは短剣を具現化した。

音を超える速度。

思考よりも速い、覚悟だけの動作。


そして短剣は――

フェイロンドの折り重なった葉を、一刀両断する。


ギィィィィィイイイィィィイイィイイイイン!!!!!


金属が破裂したかのような、凶悪な音の刃が、至近距離で炸裂した。


「ッッッッハァ!!!」


シラセの目が、白く反転する。

意識は、ほとんど刈り取られていた。


これまでの人生で経験したことのない――

そして、これからも二度と経験することのないであろう爆音。


それが、直接、脳を殴りつけたのだ。


耳から、血がしたたり落ちる。


シラセは、そのまま前のめりに崩れ落ちそうになる。

――だが。


ガッ!


両腕が、反射的に地面へと突き立てられた。

無意識が、体を支えた。


(ここで……倒れるな!!!)

(お前が、エイムを守るんだろ……!! シラセ!!!)


自分自身の声が、頭の奥で怒号のように響く。


ぐるり、と瞳が正面を捉える。


(……ああ、いてえ……)


耳から流れる血。

絶え間なく鳴り続ける、キイイインという音にならない耳鳴り。


――だが。


(もう……セイレーンの歌は……届かねえ……)


シラセは、よろめきながらも立ち上がる。


「……ええ、マジ……?」


アシュクラは、表情を引きつらせ、思わず一歩後ずさった。


ふらつく体とは裏腹に、シラセの瞳は、真っ直ぐにアシュクラを射抜いている。


そこには、痛みも、恐怖も超えた――

燃え盛るような闘志だけが、確かに宿っていた。

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