病の原因
夕方になり、散り散りになって村を調べていたエイムたちは、シラセの家に集まってきた。
皆でテーブルを囲み、それぞれ見たことを報告しあう。
エイムは少し考えたのち、言った。
「原因がわかった…と思う。」
「え、本当か!?いったいなんだ!?」
シラセは身を乗り出して問いかける。
「みんなの報告を聞いて、症状が出ていない家に共通する点があるのに気づいたの。
…それは、水。」
「水?」
シラセと村長は不思議そうに聞く。
「うん。症状がない家は、みな井戸水を生活水として使っているみたい。
症状がある家は、川の水を使ってる。」
「た…確かに、うちは井戸水を使ってる…」
「うん。それに、この病気の症状はお腹から始まるんでしょ?
たぶん、川の水を飲んでいるから、腹痛から始まってるんだと思う。」
「なるほど、そういうことか…じゃあ、川の水を飲まなきゃいいんだな!
みんなで井戸の水を使えばいい!」
「シラセ。この村の井戸の数は限られている。大半が川の水を使っているんだ。それをいきなり、すべての村民が井戸水を使い始めて、全員にいきわたると思うか?」
村長は神妙な面持ちで言う。
「…確かに…でも、じゃあどうすればいいんだ…」
シラセはこぶしを握り締めて言った。
「…この病気は、最近始まったんですよね?」
エイムは村長に尋ねた。
「ああ、数週間前から症状が出始めた。」
「わかりました。となると、たぶん川の上流で何か異変が起きているんだと思います。
その異変を突き止めて、解決できれば、川の水は元に戻るかもしれない!」
エイムは力を込めて言い、そして続けた。
「私が川を上流までさかのぼって行って、異変がないか調査してきます。」
「…川の源流は、村からそう遠くない山だ。…しかし、君のような少女が一人で行くのはあまりにも危険だよ。」
村長は案じて言った。
「大丈夫です!もともと旅をしている身だし、私にはピーちゃんやこの小人たちもついていますから!
それに、この状況は放っておけません!」
エイムは決意の宿った目で答えた。
そんなやり取りを見ていたシラセは、少し迷った後、意を決した様子で口を開いた。
「…親父。俺も行く…」
「シラセ…。しかし、お前h」
「大丈夫だ!それに、俺だって守護英雄様の末裔なんだ!絶対に村を救える!救ってみせる!」
シラセは村長の言葉を遮って叫んだ。
少し、気まずい沈黙が流れた。
そしてエイムは恐る恐る、口を開く。
「…あの、守護英雄って、昔話の…?」
「ああ、バタバタしていてエイムさんには話せていなかったね。
そう、この村は、昔話に出てくる守護英雄様のふるさとなんだ。」
村長は少し表情が緩んだ様子で答えた。
そしてエイムは、守護英雄の村のことを知ることとなる。
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