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エイムの魔法植物学  作者: izumo_3D
ー封鎖された町編ー
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星空の下の決意

その日、エイムとシラセは十分に休息をとり、夜明けとともに再び行動を開始した。

まずは手がかりとなる“小さな蛇”の出現を待つことにしたのだ。


やがて日も高く昇ったころ、塀の隙間から一匹の蛇が静かに這い出してくるのが見えた。

細身の体をくねらせ、地を這うその姿に、エイムの目が鋭く光る。


「いた……!」


すぐさま、一体の人形に魔法を注ぎ込む。


「この子が一番足が速くて、隠密行動が得意なの!」


彼女が手を添えたその人形は、他の二体と比べて細身の体で、いかにも身軽そうだった。


「よろしくね!」


エイムの声に、無言のまま力強くうなずいた人形は、地を蹴って滑るように駆け出す。

蛇に気づかれぬよう、しなやかに森の奥へと消えていった。


「さて……また人形の帰り待ちだな。今回ばかりは、人形たちに頼りっぱなしだ」


「ふふ、とっても優秀な子たちだからね」


エイムは得意げに笑うが、その眼差しには微かな緊張が混じっていた。

ふたりは言葉少なに、人形の帰還を静かに待った。


夕刻。


斜陽が差し込む中、人形が急ぎ足で戻ってきた。

その仕草には、ただ事ではない何かを伝えようとする切迫感が滲んでいる。


「お帰り! さっそく、何を見てきたのか教えて!」


エイムはすぐに人形からの報告に耳を傾ける。

慌てた様子の人形の言葉で、状況が明らかになっていく。


小蛇は迷うことなく森を進んだ奥へ進んだ。

しばらく行ったその先に、ぽっかりと口を開けた洞窟があり、そこへと消えていった。

人形は一定の距離を保ちながら、慎重にその後を追った。


内部は薄暗かったが、進んでいくと洞窟の出口が見えてきた。そしてその先には、まるで巨大な落とし穴の底のような空間が広がっていた。

そしてその奥に――

それはいた。


人の想像を遥かに超えるほどの、巨大な蛇。

その身は重くとぐろを巻き、瞳は閉じられていたが、圧倒的な存在感を放っていた。


人形は息を呑みながら周囲を観察した。

周囲は鋭く切り立った崖に囲まれており、人間が登っていくのはまず無理だった。

ほかに出入口はなく、進入には洞窟を通る以外の手段はない。

まさに、巨大な蛇が身を隠すには理想の地形だった。


数分間観察を続けたが、大蛇に動きはなかった。

人形はその場を離れ、記憶した地形を辿って帰還したのだった。


報告を聞き終えたエイムとシラセは、互いに顔を見合わせる。

その表情には緊張と、微かに震える確信が浮かんでいた。


「やっぱり……バジリスクがいたんだ」


エイムの声は震えていた。


「ああ、間違いない。……ガルムの時と同じように、奴も誰かが復活させたんだ」


シラセが歯を食いしばる。


「でも、これで分かったよ。バジリスクは日中眠る……やっぱり蛇は夜行性なんだね」


「だったら……勝機がある。明日の昼、奇襲をかけて討ち取る!」


二人は決意を込めてうなずき合い、その夜、静かに戦の準備に取りかかった。


真夜中。


月光が、静かな森を蒼白に照らしていた。

シラセは寝床に身を横たえながら、無数に煌めく星空を見つめていた。


明日、再び魔獣と対峙する。

今度の敵は、ただの蛇ではない。

一歩間違えれば即死する、致命的な存在だ。


「……今回のカギは、俺の弓。俺に、できるのか……?」


呟いた言葉は誰にも届かない。だが自問は止まらなかった。


失敗すれば、エイムも、自分も命を落とす。

恐怖はあった。だが、それ以上に――


「……俺たちだけじゃない。あのバジリスクを放っておけば、もっと多くの人が犠牲になる」


そう、守らなければならない命がある。

ただ生き延びるためではなく、誰かの未来のために。


「なるんだろ? ずっと憧れてきた“守護英雄様”に――」


星々が瞬く夜空を見上げながら、シラセは静かに、確かに、覚悟を定めた。


そして、胸に抱くその決意と憧れを支えに、恐怖を抑え込みながら、彼は眠りについた。

明日、命を懸けて、バジリスクと対峙するその時のために。

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