039 魔王様出陣⑤
エレベーターを降りて廃工場魔導機器施設の最下層に来た。
扉を開けると50アメル(メートル)四方の部屋に大型の導力端末が見られる。これはいったい何だろうか
「テトラ聞こえますか?」
『ん。導力波状況がかなりよくないけど何とか。端末情報が欲しいから事前に渡したキーで抜き取って』
「ええ、分かりました。ディマス、お願いできますか」
「了解」
魔王様も人の使い方が上手くなったな。
まぁ悪くはない。
端末の情報を自動的に吸い出すキーを懐から取り出して、魔導端末の差し込み穴に入れることにした。
キーは自動で起動する。
「さてと……そろそろ姿を現したらどうですか」
言葉と同時に突如落ちてきた【中級雷魔法】。
魔王様のおかげで間一髪で避けることができた。
魔法が出現した方向、高所用通路、キャットウォークだったか、そこに1人の男が杖を向けて立っていた。。
「私の魔法を避けるとは……只者ではないな」
「あなたが【魔法原理主義同盟】盟主ラートルズ様ですね。初めまして、わたくしは魔王エストランデ」
「魔将軍の噂はかねがね聞いていたが、魔王自ら現れるとはな………」
【魔法原理主義同盟】の盟主ラートルズ・パーロウ。
指名手配を受けている特級の犯罪者。他国ではその魔法を使って多くの人間を虐殺したという逸話が残っている。
戦闘力評価……。やはり盟主だけあって厄介のさらに上の危険ランクに相当する。
「くっ、帝国に情報が漏れていたということか。いや、全て【鋼魂摂政】の手のひらか」
さすがに気付いたようだな。
部屋の側面が急に開き……巨大な魔導機械が大きな駆動音を鳴り響かせ出てきました。
九本を首を持つ龍……ヒュドラを模した魔導兵器のようだ。
魔導端末を捨てる気か。
「本当は帝都に出す予定だったのだが、あの摂政が手を回しているなら無駄なことだろう。私の逃走に役立ってもらうとしよう」
「逃がしません!」
魔王様は跳躍しラートルズに近づくが魔導機械から放たれた数々の砲弾に阻まれてしまう。
「【中級水魔法】」
天より出現した魔法の水流。あの水流を魔導端末にあてるわけにはいかない
ファイアボールの火力を上げて打ち込み、水流を蒸発させて吹き飛ばした。
蒸気の先、ラートルズはすでに立ち去っていた。
「テトラ、ラートルズに逃げられました。追えますか?」
『やってみる。魔王と魔将軍は兵器と端末を』
「分かりました。ディマス。あなたは端末を守ってください」
「大丈夫ですか?」
「ええ、昂ぶっていますから」
強敵を相手に気持ちが高揚しているというわけか。
あの程度の魔導兵器なら魔王様で何とかなるだろう。
魔王様は高所用通路から飛び降り魔導兵器「ヒュドラ」と対峙する。
5アメリ(メートル)ほどだろうか。9つの首からは砲弾を飛ばし、両腕はナイフにように鋭い刃が見える。
こんなものを市街地に投入されたら大きな騒ぎになってしまうだろう。何とかここで破壊しなくては。
ヒュドラは背面のブースターに点火し猛スピードで突っ込んできた。
「【高速移動魔法】!」
風属性移動魔法を使い、魔王様はヒュドラの突撃を避ける。
完全に魔王を狙っているようだ。端末に被害がいかないように広域防御で守っておこう。。
「おやおや、随分じゃじゃ馬ですわね。機械にもダンスは踊れるのかしら」
人でないのであれば手を抜く意味もない。
魔王様はマギを連結させて魔力の刃を出す。
柄で連結させることに双刃剣とこかな。
「さぁ一緒にダンスを踊りましょう」
一気に突っ込み、ヒュドラの側面へ位置取る
「秘技【桜花連舞】」
双刃剣を舞うように斬りヒュドラの首を斬り裂いていきます。
しかし、9本の首がやっかいだ。1本攻撃すると残る8本から砲弾の雨に晒される。
俺だったら大技か極大雷魔法とかで何とかするが……どうする魔王様。
「決着をつけましょう」
どうやら方針は決まったようだ。マリヴェラ、やっちまえ!




