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033 魔将軍③

「あれが噂の魔将軍か!?」

「なんでこんな田舎に!」

「オラ達、助かるのか!」


「【剣聖(ソードマスター)】発動」


 魔将軍ディマスの全身が淡い色で光る。


「あの技は……!」

「知っているのかじいさん!?」

「【剣聖(ソードマスター)】は熟練した剣士が何十年と鍛錬を重ねて習得するスキルじゃい。あの魔将軍……ただ者ではないぞ」


「ハァアアアアアアアア!」


 魔将軍ディマスは人食いドラゴンにまるで瞬間移動したかのように一気に近づく。

 人食いドラゴンの顎撃が飛び込んでくるが、華麗に受け流した。

 ディマスは飛び上がり、彼に虹色に光る剣を振り下ろす。

 強靱なはずの人食いドラゴンの首はすぱりと斬れてしまったのだった。


 人食いドラゴンは力なく倒れてしまう。

 魔将軍ディマスは剣を鞘に戻して……ゆっくりと少年の元へ向かう。


「ケガはないか?」

「あ、……はい」

「よく頑張ったな」


 魔将軍ディマスは少年の頭をゆったり撫でてる。


「か、かっこいい……」


「人食いドラゴンを一撃で……」

「なんて強さじゃあああ!」

「魔将軍ディマス様! 魔王は正義のヒーローだぁぁぁ!」


 村人達は危機を救ったヒーローを賞賛する。

 村人がワラワラとディマスの所へ集まった。


「祝勝会を開かせてください!」

「子供を助けてくれたお礼を!」

「素顔を見せてください」


 ディマスは手を翳す。


「礼は結構。ドラゴンの素材をお金に換えて、費用は小屋を直したり、村への防衛費に使ってください。当たり前のことをしただけですから」


「おおおおおおおおお!」


「ふむ、申し訳ない。他の地方で事件が発生したようです。私は行きますのでみなさん、ご注意を」


 魔将軍ディマスはそれだけ伝えて、風のように立ち去っていった。

 唖然とする村人達だが……その興奮は冷めない。


 ディマスと魔王を称える声があたりに響き渡ったのだ。



 ◇◇◇


 魔将軍ディマスは周囲を警戒しつつ、移動する。

 自分の体重の負荷を移動時のみ下げる【軽業(かるわざ)】のスキルを使用して細枝の上り詰めていく。

 そうして外からは分からないように村を見据えた。


「ふぅ……これで良い噂が広まることだろう。子供がやばかった時は焦ったけどな」


 ディマスはかつて自分が同じ状況に陥ったことを思い出す。

 あの時助けてもらった英雄王はどのような顔をしていたか……。


 いや、それは偽りの記憶だったと切り捨てる。


「少なくとも俺は奴隷なんかにしない。……ただ」


 ディマスは不可解な気持ちとなる。


「そんな都合良く……人食いドラゴンが村を襲うだろうか」


 ディマスは懐から小型携帯端末『ママホ』を取り出し定時連絡を行うため電源を入れた。


「自作自演じゃなきゃいいけどな」

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