07:13
意識が上昇していく感覚がする。
眠いとぼんやりと思いながら重い瞼を少し開ける。遮光カーテンの隙間から日が差し込んでいる。天気は晴れのようだ。
ふといつもと違う匂いがして、ベッドの沈む感覚も違う。そして背中に人の体温を感じた。
顔だけ背中の方に向けると、どうやら彼が私の体腕を回したまま眠りについていた。
その体温に安心してまた眠りについてしまいそうだが、とりあえず時間を見ようとベッドサイドに置いたであろうスマホを手探りで探す。
時間を見ると、休日に起きるのは少しだけ早いと思わせる時間を刻んでいた。
『まぁ、いっか……もう1回寝よう……』
独り言ちて目を閉じようとすると、彼の腕の力が少しだけ強くなった。
『もしかして、起こしちゃった……?』
「……ん……今……何時…?」
『え?あ、あぁ……7時13分だよ』
「そっ、か……」
寝ぼけていたのか、そのまま返事もなく眠りについたようだった。
普段とは違う、今のような安心し切っている無防備な顔も見ることが出来るのは彼女としてやはりすごく嬉しいものだ。
『おやすみ、まだ大丈夫だよ』
夢の世界に旅立った彼に小さく声をかけて、私ももう一度目を閉じた。
……願わくば、隣にいる彼の夢を。
※この作品は「野いちご」にも掲載しています。