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第54話 露店の商人3

馬車の中にあったのは日本の巫女さんが着る様な紅い袴と白衣はくえだった。

俺がポーションを都合すると言った事で少し悩んだ後コニウムさんが持って来てくれた。

少し小さい気もするけどシオンなら着れそうだ。


「これは東洋国の民族衣装の一つです。……私の正装です」


私物でしたか。どこぞの貴族に売り込む物だと思ったよ。

正装って事はコニウムさんは巫女さんなのか? ……。民族衣装で正装って事はもしかして東洋国の使者はみんな巫女服で来るのか?

…………。ふむ。民族衣装の一つか。なら巫女さんパラダイスにはならないのか。


「他にも東洋国由来の物ってありますか?」


商品には無くても私物には何かあるんでしょ? 食べ物()とか調味料(味噌・醤油)とか。

この街の市場には米とか味噌みたいな日本由来の物ってないんだよね。


「え? ……ありは、しますけど」

「見せて貰えませんか?」

「…………。はぃ」


馬車の方を見て笑顔でお願いすると少し涙目で頷いてくれた。

うん、良い人だね! でもクロウさん? 貴方は庇ったりしないの?


「命の危機なら身を張りましょう。しかし商売には口を出しません」


なんか言い訳を言い始めたな。まずはツバキと視線を合わせて言おうか。視線を逸らして言われても説得力ないよ?


コニウムさんが持って来てくれたのは少量の米と味噌、そして鰹節だった。うん。朝ごはんが作れるね。


「フィーネ、これらはこの辺で手に入るの?」

「……米は探せば少しはあると思う。……そっちの○○と木片は分からない」

「おい、味噌に謝れ。木片はまだ良いけど、○○は無いだろ!」


ツバキとシオンも顔を顰めるの止めてあげて。美味しいから。味噌は日本人の心だから。


「――ヤマト様は味噌をご存知なんですか」


うん? そりゃ知ってるけど。そんな驚く事なのか?

…………。物知りそうなフィーネすら知らない物だった。


「知らない。初めて見た。なにその○○」

「嘘です! いま自分で味噌って言いましたよね!?」


…………。知っているからって問題はないだろう。たまたま別の東洋国の商人に貰った可能性もあるんだから。


「以前居た村で師匠に食べさせて貰ったんだ」

「…………。嘘ですね。これは最近になってやっと完成した東洋国の調味料です。私が勝手に持ち出した物なので知られているとは思えません」


師匠が第一人者かも知れないだろ。存在しないけど。というか、


「そんなもんを普通俺達に見せるか?」

「…………絶対○○だと思って要らないって言われると思いました」


「「「…………」」」


…………。ふむ、言葉が出ないってこんな感じなのか。呆れを通り越して凄いって思ってしまった。

東洋国の物を見せてって言われて誤解を生む可能性がある物を理解した上で見せるのか。お前は勇者か。


「巫女服とこれらをまとめて譲って頂けますか?」


「…………。この服は私の正装でして、お渡しすると少し問題が……」

「国に帰れば手に入るのでしょ?」

「は、はい。ですが、帰りにも寄る所がありまして……」


「Cランクポーションを用意しますよ?」

「差し上げます」


……即答か。目が輝いているぞ。帰りの用事はいいのか? ま、本人が良いって言ってるから貰っておこう。

まさかこんな所で巫女服と巡り合えるとは幸運の女神に感謝だな。

…………アルテミリナ様、感謝します!


【~~~~】


…………何か神々しい気配を感じたな。幸運の女神も祝福してくれているみたいだね。


「旦那様、Cランクポーションを用意するのでしたら商業ギルドに確認をした方がよろしいかと思います」


…………。そうか。俺のポーションは最高品質だったな。下手に国外に出したら問題か。レベッカさんに言って通常のCランクポーションを用意してもらう必要がある、か。


「……Cランクポーションはこの辺りには無い。……作り手が居ない。王都から取り寄せ」


「マジで? …………コニウムさん、少し時間が掛かるかも知れませんけど」

「大丈夫です。数日はこの街に居るつもりでしたし、Cランクポーションが手に入るのでしたら幾らでも待ちます!」


…………。ただCランクポーションじゃ邪神の呪いは治らないけど分かっているんだよね? 不治の病って知られているから問題ないよね。


「では明日商業ギルドで話をします。ポーションがどのくらいで用意出来るかはその時に」

「はい。よろしくお願いします。…………ではこちらは先にお渡ししますね」


コニウムさんは巫女服をシオンに、米や味噌、鰹節をフィーネに手渡していた。

まだ話も通していないですけど?


「いいんですか? まだポーションが手に入ると確定したわけじゃないですけど。……持ち逃げするかも知れませんよ?」


「良いんです。竜人族のツバキさんとシオンさんを従えているヤマトさんを信じます」

「戦姫殿の主がその様な小さき事をするとは思えん」


…………。なるほど。ツバキとシオンに対する信用ね。当然だけど。


「信頼に応えると約束します。では巫女服の話は一旦終了ですね。次は商売として茶葉を売って下さい」


そもそもここに来たのはお茶の匂いに釣られて来たんだ。俺は食事の時はお茶派なんだよ。


「…………。ポーションの取引に合わせて幾らでも持って行ってくれて構いませんよ? 他にもご入用の物があるのであれば代金は要りません」


…………。ま、ポーションの価値を知っているならそうなるか。商業ギルドで買おうとしたって事は大方の値段は分かっているだろう。メルビンさんは俺のポーションに300万Gの価値を付けた。商業ギルドが幾らで販売しているのか知らないけど近い金額はしているだろうな。


ただ借金があるとはいえお金に困っているわけではないし、茶葉をタダで分けて貰う必要はないからね。

――何より話がまとまった後に追加要求するのはカッコ悪いのだ。


「そう言うわけには行きませんよ。コニウムさんにも生活があるでしょ。一瓶一万Gですね。そこにある十瓶全部買います。他にもあるならまだ買いますよ?」


茶葉は手の平サイズの瓶に入っていた。一瓶でどれくらい飲めるのか分からないからあるだけ欲しい。次いつ手に入るか分からないからね。


「……ヤマヤマ、普段飲む分ならギルドに言ったら手配してくれるよ?」

「…………」


そういえばこの街でも貴族辺りは飲んでいるってフィーネが言っていたな。このお茶は別格っても言っていたけど。


「このお茶は東洋茶と言って東洋国原産の特別な茶葉を使っています。疲労回復、精神安定、寝覚め抜群、お通じ改善などなどの優れものです!」


…………。ふむ。美味しく楽に健康になる経済的にも優れた飲み物か。経済的? 一万Gって安いのか? ……あぁポーションより安いのか。

ポーションが少ない東洋国が生み出した漢方薬みたいな感じかな。普段飲みにするには勿体ないか。


「ならとりあえず十瓶でいいや。急須と湯呑もある?」

「勿論です! 東洋国独自の良い物がありますよ!」


なんだか胡散臭いセールスマンみたいだな。お茶が淹れられるなら何でもいいよ。


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