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第43話 魔王城5

ミリスさんも交えてのレベッカさんとの話し合いにも一定の目途が立った。


俺のギルドランクはCランクで決定でミリスさんが専属受付嬢となることが決まった。

ただし俺のランクに付いては公表はされないし、専属受付嬢が付く理由は俺の師匠がCランクポーション職人でありその代理として来ている俺も同等の対応をすることになったから、と言う事になる。


「ヤマト様は週に何本ポーションをお作り可能ですか?」


レベッカさんとミリスさんでポーションの確認を済ませ、FランクとEランクで分けられたポーションを前にして真剣な表情でレベッカさんが問い掛けて来た。


色々と長引いたけどやっとポーションの買取の話し合いになりそうだ。


「日にFランク32本とEランク16本ですね」

「…………。日に、ですか。…………ではこちらのポーションは昨日今日作ったばかりのものですか?」


そうか、まだ設備もない状態だった。それなのに昨日より数が今日は多いんだったな。

…………。ま、いっか。


「はい。まだ家を用意したばかりで作るのが大変ですけど、今後毎日用意はできます。それと今後は品質が落ちるポーションも出て来ると思います」


自分で作ってみたいからね。一応軽く打診しておこう。


「…………。必要な設備がご入用の場合は商業ギルドにご依頼ください。どんなものでも揃えて見せます」


ポーション作るのに機材がいるならお願いしないとダメか? ダダンガさんが基本的な物は用意してくれると思うけど専用の物になるなら商業ギルドにお願いすることもあるかも知れないか。


「その時はお願いします」


自分で作って売るポーションが増えたら万々歳だな。Cランクまで作れるって事になってるんだしDランクまでは出してもいいかな。…………。しばらくは様子見するか。

様子見てセルガでも1本持って来ていたし数日に2本3本なら問題ないだろう。


「分かりました。その際は御遠慮なさらず直ぐにミリスか私にご依頼ください。勿論今でも構いません。直ぐにでも手配致します。何かありませんか?」


随分と押して来るな。まだ設備がどうなっているかも分からないんだから何も言えないから。


「今はいいです。それでポーションの買取は出来ますか?」


さっきからポーション眺めるだけで金額とか言ってくれないからな。

減額することはないだろうけど、数が増えたからね。あぁでも最高品質がどうとか言ってたな。


「…………。ポーションの買取価格は高品質の五倍の価格で宜しいでしょうか。本来であればオークションに掛けて数十倍の値段になるほどの品です。ですが、これほどの品質を安定してお作りになられると言う事であれば金額を抑える必要がありまして。我々としましても最高品質を取り扱うことはなく規定の金額が定めておりませんでした」


五倍? 昨日の五倍ってことか? いや高過ぎだろ。オークションで数十倍ってどれだけだよ。

別に今回限りじゃないから目立つような大金が欲しいわけじゃないんだが。…………。これでも今後の取引を考えて控えめにした金額って事か。むしろ俺が値上げして来ることを見越して値段を低めに見積もっている可能性もあるのか。うーん。とりあえず当面の資金は欲しいから良いか。


お金が余って来たらポーションを生み出すのやめればいいし。いずれは自分の力でポーションを作りだして緊急事態の時だけ魔法を使う様にしよう。


「構いませんよ。昨日と同じ値段でも問題ありませんから」

「…………。昨日は申し訳ありませんでした。ポーションの価値を見誤った事はギルドの失態でした。それも含めて昨日の謝罪として金貨五枚とポーションの過不足分として金貨十五枚を用意しております。これは昨日の時点でのポーションの価格に対する物ですので今日以降は先ほどの価格で対応させて頂きたく思います」


昨日の銀貨三十枚を単純に五倍にしても銀貨百五十枚、百五十万Gだ。それを昨日の時点の価格で過不足金が金貨十五枚、千五百万Gってヤバいだろ。オークションが数十倍って言ってたし昨日の時点ではオークション価格を想定していたのか。毎月億万長者になれるぞ。


「謝罪金を受け取るつもりはありません。ポーションの過不足金についても今日話した価格で再計算して過不足金を用意して頂けたら問題ありません。別段お金に困っているわけではありませんので」


一日の売り上げが百五十万Gだよ? これ以上貰う必要ある? むしろ昨日の金額でも満足していたのにそれが五倍って十分だから。


「い、いえ、昨日の買取は昨日時点の買取価格になります。ここは商業ギルドとしても譲れません」


うーん。安く買い叩こうとしたらそれより安くなって慌ててる? 余りにも安く買い過ぎたら他と比べた時に酷い差が出てしまうからね。まぁ貰って損するわけではないか。借金の事もあるし。…………悪人には狙われ易くなりそうだけど。


「ではそれでお願いします」

「え、あ、はい。コホン、ミリス準備を」


俺が余りにも簡単に返したものだから面食らってしまったようだ。直ぐにミリスさんに指示を出してミリスさんが硬貨の山を持って来てくれた。

…………ギルドカードに入金するなら事前に言って欲しいって言われていたんだった。わざわざ用意させてしまったな。


「ではこちらが昨日の過不足金の金貨十五枚です。そして本日の買取分が2,715,000Gになります」


…………。あれ? 昨日30万Gでその五倍だよね? ポーションの数が違うにしても額が増え過ぎじゃない?


「内訳としましては高品質の五倍の価格でFランクポーションが一本7500Gになり、Eランクポーションが一本15万Gとなります」


いやいやいやいや、FランクポーションとEランクポーションの差が激しくない? ワンランクで20倍の開きってDランクポーションはどうなるんだよ!?


これ二日で月の返済額越えるよ? 月に七千万G越えるよ!! Eランクポーションは高品質で三万か。…………。あれ? でもそれなら昨日12本持って来たからそれだけで36万Gだけど? いや、補填額は貰ったけどさ。


「昨日の買取では中品質で買取りをしております。品質が良かったので中品質の中でも一番高い価格帯で案内させて頂いたのですが私の予想を更に超えるものだった為あのような金額になってしまいました。申し訳ありませんでした」


なるほど。まさか俺みたいな子供が持ってきたポーションが高品質なわけがないと中品質の最高値で買い取っていたけど、調べたらそんな次元の話ではなかったわけね。うーん。それは良いけど。これ稼ぎ過ぎだよね。確かに楽に簡単に大金が稼げたけどさ。…………。尊敬も集めているかも知れないけど実際には作れないから詐欺だよね。


「いえ、大丈夫ですよ。昨日も言った通りあの金額でも満足していますから。でも今後はこの金額になるわけですよね?」

「はい。各地に送って反応を待ちますが多少の値上げには応じる事もできます」


いやいや、これ以上は結構です。Dランクポーションはしばらく御蔵入りだな。毎朝の元気一発に皆で飲むか。


「金額に不満はありませんよ。まだ安くても問題ありませんし」


借金の返済にお金が欲しいとは思ったけどそんな急激な大金は庶民には持て余すからね。貯金するにしても数年は寝かせる事になるなら何かしらお金の使い道も考えよう。

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