63話 お出かけ
シャイニーナにかっこよかったと言われて少し照れるゼクウェント。
そんな彼に彼女は笑いかけます。
「わがままいったのにつれていってくれて、にーなうれしかったの! あの、ありがとうです……」
あ、可愛い……
ゼクウェントはその眩しいほどの笑顔に少し額に手を当てて笑いました。
「お弁当は持ちましたかー?」
「もったー!」
「お茶はー?」
「持ったよー!」
食べ物の入ったバスケットやおもちゃを抱えてお屋敷の玄関に集まったシャイニーナ達。
今日は約束通り遊びに行く日です。
「じゃあ行きましょうか」
ヒヨが言いました。
そのまま六人は歩き出します。
「今日は風が気持ちいいですね」
暖かいこの時期にぴったりのそよ風が吹きました。
「そよ風ー!」
「気持ちいいー!」
ミメとメメがぱたぱたと羽を動かしながら嬉しそうに飛び回ります。
シャイニーナの髪がふわりと揺れました。
「うん、きもちいいね」
シャイニーナは微笑みます。
小さな天使のような、可愛い笑顔。
幸福の塊のような微笑み。
「……可愛い……」
思わずゼクウェントは口にしました。
「え?」
シャイニーナが聞き返します。
「いや、なんでもないよ」
彼は視線をそらし誤魔化しました。
そっと笑いながら。