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62話 かっこよかったよ!
「大きくなったのね」
寂しそうな顔でエイレンが呟きます。
「そうだな」
レオドルスも言いました。
小さな小さな、森の中の村。
茜色に染まった空はそれはそれは綺麗でした。
「ただいまー!」
「あー、ニーナだー!」
「おかえりなさ〜い」
明るい声で帰りを告げた彼女に、双子の妖精が駆け寄ります。
「人間界楽しかった?」
「楽しかったー?」
きらきらと輝くミメとメメの瞳。
シャイニーナが笑いました。
「うん、たのしかったよ! ぜくえんとさまがまおうさましててね、かっこよかったの!」
「えー! うそー!」
「ゼクウェント様魔王様できたんだー!」
きゃっきゃと笑いながら2人はゼクウェントを指しました。
「ゼクウェント様、ニーナかっこよかったって!」
「良かったねー!」
「う、うん」
シャイニーナにかっこよかったと言われて少し照れるゼクウェント。
そんな彼に彼女は笑いかけます。
「わがままいったのにつれていってくれて、にーなうれしかったの! あの、ありがとうです……」
あ、可愛い……
ゼクウェントはその眩しいほどの笑顔に少し額に手を当てて笑いました。