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61話 また来るね
「暗い魔界より明るい人間界の方がいいよね…… 彼女に魔界の暗闇は似合わない。彼女がいるべきところじゃない」
魔界にも日はのぼります。
確かに明るいです。
ですがどこか薄暗いような、そういう場所です。
「でもね。僕は君を諦める訳にはいかないんだよ」
「シャイニーナ、そろそろ帰ろうか」
「はーい!」
シャイニーナがゼクウェントの方に向かってかけだします。
そんな彼女の様子を見て彼は少し笑いました。
「いろいろ話せた?」
「はなせました!」
「なら良かった」
彼は彼女の手をとるとそのまま浮き上がります。
「今日はありがとう。また来る」
「おかあさま、おとうさま、またねー!」
自分の両親に別れを告げるとシャイニーナはゼクウェントとともに城の方へと飛び去っていきました。
「大きくなったのね」
寂しそうな顔でエイレンが呟きます。
「そうだな」
レオドルスも言いました。
小さな小さな、森の中の村。
茜色に染まった空はそれはそれは綺麗でした。