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51話 西の辺境
「にーなね、いっかいあってみたいの。どんなひとなのかなって……」
ゼクウェントは考え込みました。
彼女の望みは何でもかなえてあげたい。
でも、国王が知っていた最小限の情報しか彼は知らないのです。
「うーん、考えてみるね」
「本当ですか?」
彼はにっこりと微笑むと書斎へと消え行きました。
「西の辺境の村……辺境か……」
人間界の地図を広げながら彼は呟きます。
「うーん、ここっぽいけど……誰が親かなんてわからないよね……」
シャイニーナは親の顔を知りません。
もちろん名前も。
ゼクウェントも同じです。
「はああああ、すぐわかったらいいんだけど……」
彼は地図を閉じると頭を抱えました。
「でもやっぱり会わせてあげたいんだよね……」
「にーなむりいっちゃったかな……」
ニーナが少し落ち込みます。
「……でも、にーなおかあさまとおとうさまにあってみたいの……」
彼女はため息をつきました。
「どんなひとなのかなあ……」
「……? ……! おかえりなさい!」
「ただいま。今日も疲れたよ」
「ふふふ、あの子もきっと疲れてるわね」
「あの子元気でやってるといいな」