第7犯 盗賊in coming事件
盗賊って人権無いよね。
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「国がどうとかも、何がどうとかも俺は前の街で何一つ知れなかったな。やべぇぞ?」
「人間の内情など知らんからな、我にも最も大きなデュランダル帝国は魔王の奴に喧嘩を吹っかけている程度の事しかわからん」
「デュランダル帝国? そういやー、魔王なんているんだな。よし、そのデュランダルにはいかねー」
「奴の椅子を奪おうと貴様を召喚したのだ。が、なんだかアホらしくなってしまった。あの辺境伯の豚を見てしまうとな。玉座で大勢の部下を従えるより、上手い飯を食って好き勝手に暴れているのが性分なのだろう」
コイツは偉そうなのはブラフなのか?
それよりも俺は街から出て取りあえず危険そうな森に突撃した。かれこれ3日は歩き回っているが、バイコーンのツインも仲間になったし、レベルはこの世界では30レベルで怪物クラスのなのだと言う。人間の中で最高の天才が真面目に鍛錬して最大レベルが50の世界だ。だから危険はない。襲い掛かって来た獣を仕留めているから食い物にも困らない。
強さこそ正義で、自由だね! もう、最高!
今の戦力はアンドラス・レベル76。ツイン・レベル50。わし・レベル1
「わしのレベルカス過ぎやん?」
「一般人レベルだ。ゴブリンになすすべなく殺されるぐらいの雑魚だな。んん? この辺り・・・・・・妙だな」
「まぁ、いいか。よーし! 俺を守れ!」
「まぁ、貴様の拳があればエンシェントドラゴンも討取れるだろう。その拳のみ、貴様が持つ唯一の規格外兵器だ」
俺は鼻で自分のスキルを笑う。一撃で殆どの敵を戦闘不能にせしめるこの(パンチ)は性能はチートだが、対処法が解ればゴミの典型例だ。
俺が取れる戦法は1つ。アンドラスの結界でスーパーアーマーからの俺の唯一の魔法、ダッシュで敵に高速接近からのパンチ。これで決まりだ。
欠点は、結界が破られると死亡。作戦前に敵に距離を詰められると死亡。敵がアンドラス以上の強さなら死亡。敵のスキルが無効化とか言う理不尽なら死亡。etc
「ご主人は強いと思うんですけどね」
「いや、強いと言えないだ。ツインはおだてるのが上手だな、将来有望だ。上司に大人気だ、おべっかは嫌いだとか言うカスはごまんといるが、そんな奴は大抵一捻り加えた煽てと可愛い女で簡単に堕ちる。真面目な石頭は女を使えば陥落するぞ? 恋を知らねぇ奴は簡単に色恋で操れる」
「覚えておくよ! ご主人は賢い人なんだね!」
「お前、煽ってない?」
俺はツインの言葉に不安を覚えつつ森の一本道を突き進む。そんな時、ゴブリンが飛び出して来た。
「キシャアァァァ!」
「あ? なんだぁ?」
ゴブリンは棍棒を振りかざして突進して来る。俺は腰のナイフを抜くが、ツインが馬の形態で前に出ると、前足で強力な蹴りを撃ち込んで吹き飛ばしてしまう。角すら使う必要なしか。
その時だった。
「ひぃえええええ!? ば、バイコーン! なんでこんな、なんでぇ!?」
1人のおっさんが茂みの先で腰を抜かしていた。ゴブリンの死体に視線を外しつつ俺はナイフを仕舞うとおっさんの様子を見る。
何やら、この世界には似つかわしくない武器を持っている。
ボウガンだ、だが、何と言うか・・・・・・少し近未来的だな。鉄球クロスボウ? いや、矢も発射できるな? ん? 足をかける場所が無い。レバーが付いている所を見ると、そこで引き絞るのか? 良い武器だな。
「ここの住人ですか? 安心してください、私の従魔ですので危険は有りません」
「じ、従魔!? ふざけ・・・・・・うわぁああああ! あ、あああああアンドラス!? 夢だ、これは夢だぁ!」
「あのー、だから大丈夫ですって!」
「もう死ぬんだぁあああ!」
「おい! クソジジィ! 泣き止まないとお前を野犬の晩飯にするぞ! 3数える! 1・2!」
「わ、わかった! だから、やめくれぇ!」
ようやく落ち着いたおっさんから話を聴けば、近所に現れたゴブリンを始末していたようだ。生息範囲を追われたのかもしれないと言っていたな。ふーん、大変だね。
俺はおっさんの住んでいる小屋に招待された。
迷惑料で金貨を渡したら何かを悟った様にケロッと態度を変えやがった。恐らく金では無いな。
「あんた、上級の冒険者だろ? そうじゃねぇとそんな従魔を独りで操るなんて説明つかねぇよ」
「はぁ?」
「いやぁ~、実は困った事があってなぁ」
「・・・・・・ゴブリンか?」
「あんな雑魚は殺せるぜ! ちげーよ、盗賊どもだ!」
ド定番来やがった! TO・U・ZO・KU!
「へぇ? で? どうしろってんだよ」
俺がそう言うとおっさんの小屋についた。おっさんはドアを叩くと、中年の女性がドアを開けた。随分な美人だ。中年に差し掛かっているだろうが、若い頃の美しさが深みを増したかのような歳の取り方をしている。
「あなた、どうでしたか・・・・・・ひっ!」
「あぁ、落ち着け! この方は上級冒険者の、ええっと?」
「ククルス・ゼァークと言います。ご安心下さい、ご婦人。これらは私の従魔です、暴走は無いと保証いたしましょう」
俺はギルドのカードをランクを指で隠してチラリとみせると、ご婦人はほっとしたような顔をする。
後ろにいるのはデッカイ鳥に、デッカイ馬。なんか、物々しいな。
「おい、人間型になれ。ご婦人が怯えているだろ?」
「偉そうにするな! だが、それもそうか人間は我らを恐れるものだからな」
「綺麗な人だね! ご主人!」
人間型になると、俺達は小屋の中に招待された。ツインは早速ご婦人に甘えている。見た目は可愛い美少年だからか、ご婦人も笑顔で頭を撫でている。角は短くしている上に刃の様な形状ではない、丸っこい物になっている。てか、お姉さんじゃなくても綺麗な女の人ならいいのか。
そして、おっさんは俺とアンドラスに叫んだ。
「折り入ってのお願いだ! この近辺の盗賊を一人残らずブチ殺してくれ!」
おっさんの言葉に俺は首を傾げた。
は? コイツ、冒険者に殺しの依頼をしやがったぞ!?
「待って下さい? その盗賊が、どのような事をしたかにもよりますよ? 冒険者は殺し屋ではないのです」
「連中は最近になって数が急に増えやがったんだ! 新しい頭が出来たとか、そんで、この周りにはこんな小屋暮らしをしている連中がいる! 見境がねぇ、この家も金を奪われちまった。この前は俺のカミさんまで襲われて」
「許さん!」
俺は反射的に叫んでいた。それを済ました顔で聴いていた鳥頭のアンドラスがニィ、と笑うと窓の外をくちばしで刺した。
そこには何やら物騒な男達が歩いて来ていた。
次の瞬間にはドアがけ破られていた。
「おい! 金を集めに来たぞぉ!」
「パンチ!」
俺はクソ野郎の顔面に拳をぶち込んでいたスキル効果を発動したパンチは、盗賊の一人を遠くまで吹き飛ばした。
「お、おい! コイツ、御頭みてーな力を!」
「金目の物をおいて行け! さもなくばくたばれ!」
「ふざけんなオラァ! 今日はその女貰いに来たんだよ!」
「おばちゃんはやらないぞ! この屑どもめ!」
角に電気を収束させてツインがまた盗賊を吹き飛ばした。アンドラスもノリノリで残った奴を蹴り倒した。
「ふん、弱い。おい、脆弱な者よ! その願い聴いてみれば良いではないか? この辺りから匂う珍味な魔法の匂いが気になる」
「はぁ? 魔法の匂い?」
「ご主人には関係ないと思ってたんですが? アンドラス様も気になりますか?」
俺は早速ふりかかって来た災難にため息を付くと、残っている盗賊に視線を移す。
「クソ悪魔、ツイン。死なない程度にいじめてやれ! 俺は援護する! 石で!」
俺TUEEE!ってよりこいつらヤベェ、ですかね。
もうね、仮面ライダーディケイドばりに好き勝手に暴れ回ります。