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Need of Your Heart's Blood 1  作者: 彩世 幻夜
第三章 the actual situation
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龍王の血を継ぐ者

 悪魔と契約を交わし、魔力を得た古の始祖の血……。魔界に現存するほぼ全ての吸血鬼が、その系譜をさかのぼり辿ればその血へと連なる。

 ……だが。

 悪魔との契約によって得た驚異の力を得、魔界に存在する幾多の魔に属する者らの中でもかなり上位に君臨し、それなりの地位を築き上げ、彼ら一族が“吸血鬼”と称されるようになり始めた頃。

 更なる力を求めた者たちが居た。

 魔界このせかいで、どんなに地位を求めようと、上を見上げれば、どうあがいても越えられない壁がある。

 どんなに強力な力があっても、所詮借り物。

 その貸主である悪魔――魔界を統べる王らの一族に仕え、従う眷族以上のものになれはしない。

 ……吸血鬼、と呼ばれるようになった一族。悪魔から得た力とは別に、元から持っていた、彼ら一族独特の能力は本来の物とは少々意味を違えて受け継がれていた。

 血を吸った相手の遺伝子を自らに取り込み、その能力と姿を自らに写すための能力は、いつしか“写す”ためではなく、“移す”ために使われるようになった。

 魔界に存在する者らの血を取りこみ、様々な能力を我が身に移し、自らの力を強化する……。

 だが、格下の雑魚にも等しい者らの血を吸い、その力を得た所で何の得にもならない。

 かといって、いきなり格上の相手に食ってかかって無事に済む訳もない。

 ――そもそも、魔界で最上位にある種族から得た力を振るう吸血鬼という種族より上位にある者など、そうは居ない。

 そのうちの一つ。“魔獣”と呼ばれる者らの中では最上位にある一族があった。

 それが、龍族であった。

 彼らの持つ魔力の総量は莫大で、それだけを比べたならば、上級悪魔でさえ適わぬものが居る程のもの。

 それを打ち倒し、その血を得、その莫大な魔力を我が物とした始祖直系の子孫であった英雄の名。

 

 それが、龍王。


 悪魔から借り受けた力と、龍の力を併せ持ったその力は他に比類なく、悪魔とも対等に戦える程。

 ……龍王の血を継いだ一族が、吸血鬼達の王族として君臨する様になるのに、そう時間はかからなかった。


 だが、しかし。


 悪魔の力を得た始祖の血を継いだ者同士から生まれた子供は皆、その力を継いで生まれて来た。

 ……たとえ片親が人間であったとしても、――受け継ぐ魔力の量こそ減るものの、確かに魔力は継がれる。

 始祖の血だけではない。親が持つ血の力のほぼ全てはその子孫に確かに継がれていく。


 龍族には劣るものの、魔獣の中では上位に属し、氷の魔術を得意とした魔狼の血を取りこんだ一族――アルフ。

 生まれ持った魔力は少なくとも、占術と弓術に優れたケンタウルスの血を取りこんだ一族――カヴァルステラ。

 より深い知識と知恵、複雑で繊細な魔術を扱うエルフの血を取りこんだ一族――フエル。

より優れた不死性を求め、不死鳥の血を取りこんだ一族――フェンリクス。


 龍王の血を継ぐ者にこそ及ばず、悪魔と対する程の力は無いものの、吸血鬼としては破格の力を持つ一族。

 彼らは、常により強い力を求めながら、王位を狙っていた。


 龍王の血だけは、他の血とは違い、ただその血を継いだだけではその力を行使することは適わなかったのだ。


 龍王の血の力を行使するための資格や条件などは、数千年の時を経た今でも、解明されてはいない。


 そして、その数千年間、実際に龍王の血を行使したものは、数えるほどしか存在せず、その者たちは皆、例外なく英雄とされている。


 始祖直系の子孫、龍王の直系の子孫。王族たるその血を継ぐ、その一人は、朔海。

 

 そして、もう一人。

 前代未聞、半吸血鬼でありながら、龍王の血を継ぎ、行使した者。


 ……それが、白露――。


 かつて、王族として生まれた母と、アルフ族一の実力派として名を馳せた父から生まれた、アルフ族現族長、“紅狼”を父に持つ半吸血鬼。


 現在、双葉葉月と名乗る彼こそが。



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