”憎悪の極点王”の襲来
「くっそ〜、卑劣なヘイトスピーチは絶対に許せないぜぇ〜!!」
この日、山賊小説を執筆しているなろう作家のアカシック・テンプレート(以下:アカテン)は、昨今問題になっている『ヘイトスピーチ』と呼ばれる行為に対して、物凄く憤慨していた。
怒りのあまり、激情に駆られるまま釘バットを片手に外へと飛び出すアカテン。
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!憎悪犯罪、撲滅週間ッ!!」
アカテンがそのように叫んでいた--そのときである!!
突如、紫色の禍々しい雷が轟音を響かせながら、辺り一面に放たれる--!!
そして、落雷の中心地と思われる上空から、極大の暗黒障気を身に纏った武骨な男が姿を現していた。
男は上空で右手を掲げると、眼下の人々を見下ろしながら高らかに宣言をし始めた。
『この国に住まう全ての臣民諸君よ、お初にお目にかかる!!……我は"永遠の王"より、この世界の統治を任された存在:"憎悪の極点王"である……!!』
「何だ、アイツは……な、何かのイベントだよな?」
「分からん……が、只者とは思えない気迫の持ち主だぜ……!!」
「ダレネ、ダレネ!?」
集まった人々から困惑の声が上がり始める。
だが、そんな中においてもアカテンのみは理知的な眼差しを携えながら冷静に事態の把握に努めようとしていた。
("憎悪の極点王"、だと?……一体、奴は何をするつもりなんだ?)
アカテンの疑問に答えるかのように、男が拳を握りしめながら激しく演説し始める--!!
『我は"永遠の王"より賜ったこの強大な権能を持って、この国を守るために全ての悪しき害夷共を駆逐する所存であるッ!!!!志をともにせんとする気高き同胞達よ、我がもとに集うが良い……!!』
そのような"憎悪の極点王"の呼び掛けと同時に、漆黒に身を包んだ異形なる装甲兵の軍勢が姿を現す。
大衆が新たなる"王"の到来と、それを支える圧倒的なまでの軍勢の偉容を前に沸き立つなか――。
「ヒ、ヒェ〜〜〜ッ!!ぶ、文明壊化の音がする〜〜〜!?」
極度のショックのあまり、アカテンは盛大に失禁しながらその場で気絶した……。