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第四話 生徒会長

「皆さん、ご入学おめでとうございます。今年度も多くの人がこの学校に来てくださり心から感謝いたします。……昨年度は卒業生なしということで残念な結果に終わってしまいましたが、皆さんの代では卒業生が出ることを願っています」


 意外にも校長の話はすぐに終わった。普通、長いはずなんだけどね。


「続いて生徒会長からの挨拶」


 そう司会の人が言うと、女子のキャーという声が前の方から聞こえてきた。何事かと前を見ると、その理由はわかった。


 生徒会長の容姿が優れていたから。


 なるほど。女子が騒ぐのも頷ける。まあ、私は興味ないけど。


 若干、やれやれと思いながら茜の方を見ると、茜はうっとりとした表情で生徒会長を見ていた。


「茜って意外とあーいうのがタイプなの?」


 私がそう尋ねると茜は首を横に大きく振って否定する。


「そんなことないですわ!ただあんなに綺麗な人は見たことないので」

「ふーん」


 私の興味なさげな態度に驚いたのか、茜は意外そうに言う。


「もしかして、彼のこと知らないの?」

「えっ、もしかして有名人?」

「そうですわ。彼の名前は時田晴。あの時田財閥の御曹司ですよ」

「えっ、あの?」


 時田財閥とは世界のトップ5に入る大会社で、色々な事業に取り組んでいる会社だ。最も有名なのがアミューズメント施設。世界のあちこちで運営されている。


 そんな財閥の御曹司。玉の輿に乗る相手としては申し分ない。だからみんなあんなに目を輝かせているのか。そしてこれで女子が前の方に座っていた理由がわかった。


 私たちがこんなことを話している間に彼の挨拶は始まった。


「ご入学おめでとうございます。皆さん、初めまして。私は生徒会長の時田晴です。皆さんと出会えたこと心から嬉しく思います。……さて堅い話はなしにして、この学園のことを知ってもらうために一つゲームしましょう」


 ゲーム?


 みんな私と同じ疑問を持ったのだろう。座席の方が俄かにうるさくなっていく。


「何、難しいものではありません。誰でも勝つチャンスのあるゲームです。今回は特別にペナルティーはありません。知ってもらうことが目的ですので」


 ペナルティーか。退学するとか、そういう?


 みんな一体何をするのかと生徒会長の話に耳を傾ける。


「今回するゲームは……宝探しです。これと同じものを見つけた者が勝者になります」


 そう言いながら生徒会長が掲げるのは星の付いたティアラ。


「制限時間は一時間、場所は学園内すべてです。もし道に迷ったりすれば近くの上級生などに尋ねてください。……優勝した暁には卒業へ一歩リードできます。それでは開始してください」


 みんなどうすればいいのか?とオロオロしていたが、生徒会長の開始の合図を聞くと、取りあえずどこかに行こうと考えたのかみんな椅子から立ち上がり始める。


 玲奈はというと、学園の地図を見ていた。


「うーん。どこら辺にあると思う?」

「そうね。多分ですけど、地面の下とかではないと思いますわ」

「なんでそう思うの?」

「ああ、それはあのティアラの値段がものすごく高いからですわ。これはかの有名なデザイナーさんがデザインしたティアラですから」

「へえ、そうなんだ」


 さすがお嬢様だな。


それにしても、この広い学園の中から探すのは難しいだろう。何か意図がある。そう考えるべきだろう。


「あの……。私が思うにここにあるんじゃないかな」


 そう切り出して彼女が述べた場所は意外な場所だった。


「私って探し物が得意なんですわ」


 それは後から彼女が言った場所が正解だったときに言った言葉である。

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