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第二話 出会い

「ようこそ、星ヶ丘高校へ」


 門の中に入ると制服を着た女性に声をかけられた。


「あっ、こんにちは」

「私は星ヶ丘高校で副会長をしています結城加保と言います。如月玲奈さんで間違いありませんね」

「はい、そうですけど……」


 なんで私の名前がわかったのだろう?


 そう口に出さなくても表情に出ていたのか彼女は私の疑問に答えてくれた。


「門をくぐるときに必ず人物認証がされてこのタブレットにデータが来るんですよ。防犯に気を付けているからという理由がありますけど、一番の理由は生徒が勝手に学園外へ行かないようにチェックするということです。入学前の面接の前にこの学園の規則について説明されたと思うんですが……」

「はい、もちろん覚えています。確か署名もさせられました」

「ええ、ここは他の学園とはだいぶ違いますから。ここでの教育方針に賛成しているという明確な意思表示がないと思わぬトラブルになることがあるんです」

「……そうですか」


 思わぬトラブル。なんだか不穏な感じがしてきた。


「ええ、最初は皆さん戸惑いますが、しばらくすれば慣れると思いますので、卒業目指して頑張ってください」

「はい、頑張ります」

「入学式は今から30分後に講堂の方で行われます。場所はこの先をまっすぐ行くと右手にありますので、遅れずに来てください。それと……手荷物のほうは講堂前で預けていただきますのでご了承ください」

「わかりました。色々とありがとうございます」


 玲奈は副会長にお礼を言うと早速講堂に向かうことにした。あまり時間もないようだし。


 ……だがそれにしても……玲奈は歩きながらも周りの建物に驚いていた。さっきいたところは広場だったのか何もない少し殺風景な気がする場所だったのだが、少し歩いてついたここはたくさんのお店が所狭しと並んでいてとても賑わっている。


 すごい!あの有名なスイーツ屋もある!


 私はせわしなく辺りを見渡しながら歩く。私と同じ新入生と思われる人もちらほらいる。みんな物珍しそうにしている。


 本当なら買い食いしたいところだが……。


「まだ、IDカードもらってないしな」


 そう、この学園では何でもタダなのだが、何を買うにしても学生IDカードを見せる必要があるのだ。そしてそれをもらうのは入学式の後らしい。だから新入生は今はまだ見るだけしかできない。


 しょうがないと諦めて私は講堂に向かった。


 あとであのお店に行ってやる、と思いながら。


****


 結構広いんだな。


 あれから五分もかからないうちに講堂に着いた。入る前に持ち物を預け、持ち込み禁止なものがないかどうか検査するらしい。度々いるそうだ。携帯とか外と連絡が取れるものを持ち込む人が。まあ、例外なくすぐにばれるそうだが。


 で、私は無事通過して講堂の中にいるというわけだ。


 さて、どこに座るかな。


 そう思いながら見渡すと何だか前の方に女性が集まっているのが見えた。……なんで?


 いや、普通みんなそんなに前のほう座らないよね。中学の時はみんな後ろのほうに座りたがっていたし。


 訳が分からない。


 ……まあ、私はここら辺でいいか。そう思って座った場所はちょうど中央のあたり。後ろも結構人でいっぱいだったから、空いているここにしたんだけど……。


 いや、ホントに空いてるな。真ん中だけガラガラなんだけど。


 若干の居心地の悪さを感じながらも式が始まるのを待つことにした。


 そんなときだ。これから私にとって長い付き合いになる彼女に声をかけられたのは。


「すみません。お隣に座ってもよろしいでしょうか?」


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