第一話 プロローグ
楽しんで読んでいただけると嬉しいです。
「ここが、星ヶ丘高校……」
私は大きな門を見上げながらそうつぶやく。
星ヶ丘高校。それは今日から私が通うことになる学校の名前。名前だけ聞くと普通の学校だと思うかもしれない。だが、この学校には変わっている。
例えば入学試験は存在しないということ。入学を希望する者は入学前に簡単な面接を受けるだけ。しかもそれにより落とされる者がいるわけでもない。希望者全員が入学できるのだ。
他には在校中費用が一切かからないということ。入学後は学校の敷地内に隣接する寮で生活するが生活に必要なものはすべてタダで支給される。授業料もかからない。
しかも娯楽にかかる費用も負担してくれる。
それだけでも魅力的だ。だがたくさんの人がこの学校に進学する一番の理由は、学校が宣言している一つのこと。
それは……“卒業した暁にはあなたが望む願いを一つだけ叶えられる”ということだ。
最初、それが知らされたときは何をバカなこと言っているんだ?とほとんどの人が相手にしなかった。だが、卒業生が初めて現れたとき、真実だったことが証明された。
その卒業生は何を望むかと学校から聞かれたとき、こう答えたそうだ。
「私は自分の国が欲しい」と。
すると学校は「わかりました」と言い、一日も経たないうちにその人のために新しい国を用意した。
それには誰もが驚愕した。この学校の言ったことを信じていなかった人も。そしてこぞってこの学校に進学した。
……だがそれ以降、卒業したのはたったの五人。その驚異の卒業率は0.0001%未満。
そして卒業できなかった者はそれまでにかかった費用を払わなければならない。
そして入学したら卒業か退学するまでは学校の敷地外には出られないし敷地の外にいる人とは連絡することは許されていない。それに退学の場合は在学中の記憶がすべて消される。
つまり、退学すれば在学中の記憶を消され、かつ莫大な費用を払わなければならない。ハイリスクハイリターン。この学校を表すのに相応しい言葉だろう。
それでも人々はこの学校に入学することを希望する。
そしてそれは私も同じ。私にはどうしても叶えたい願いがある。そのためにはリスクを背負うことは厭わない。それだけの価値はあると思うから。
私は一度深呼吸してから門をくぐる。
絶対に卒業すると決意して。